ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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声明文

「テロ等準備罪」反対声明文

2017年4月27日

世界は極めて不穏な状況にあり、日本も戦後70年を過ぎた今、戦前を想起させるような右傾化の道を辿っていることを、私たちは深く憂慮しています。国会では3度も廃案になった「共謀罪」を政府与党が「テロ等準備罪」と名称を変えて再びその成立を目指しています。

この法案は、表向きはテロを未然に防ぐという名目で生み出されたものですが、その適用範囲は曖昧で、時の政権による恣意的運用を可能にしています。犯罪を目的としない思想、想像、表現にまで大きく網をかけ、捜査対象にされてしまう可能性があります。このまま法案が成立すれば、人々は委縮し、自主規制社会と、それに引き続く監視社会が到来することになるでしょう。それは日本国憲法で保障された集会の自由、結社の自由、そして私たちにとって最も切実な、言論表現の自由が侵されることに他なりません。
このような法律の制定は決して容認できるものではありません。

ミュージック・ペンクラブ・ジャパンは「テロ等準備罪」の名を借りた実質的な「共謀罪」の成立に強く抗議し、ここに反対の意を表明します。

一般社団法人 ミュージック・ペンクラブ・ジャパン会長 鈴木道子

著作権法改定(第113条第5項関係)に国民の総合的な視点を反映した慎重な審議を求める声明

2004年5月26日

当初から全国消費者団体連絡会や弁護士会が反対していた著作権法改定案を提出するにあたって文化庁は、著作権者および著作隣接権者の保護の観点から、アジアからの低価格の逆輸入盤を規制するための法案と説明してきました。しかし参議院の審議の過程で、規制されうる海外盤の範囲は、アジアからの逆輸入盤(約68万枚)にかぎらず、すべての海外盤(約6000万枚)であることが明らかになりました。しかもその適用基準は「(著作権者や著作隣接権者が)得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合」ときわめてあいまいです。文化庁は運用に問題があったときは裁判で争えばいいと言っていますが、生きた音楽に長い時間のかかる訴訟はなじみません。

参議院の審議会において日本レコード協会会長は「洋楽海外盤の輸入を規制するつもりはない」と発言しました。しかしその前に日本レコード協会大手5社の親会社を含む著作権権利者の団体である全米レコード協会RIAAと世界レコード産業連盟IFPIは、逆輸入盤と洋楽海外盤とを問わず、並行輸入を禁止できる権利を認めるようにという、日本レコード協会と一致しない意見書を文化庁に提出しています。

再販制度に加えて、レコード会社などにこの新たな権利を認めることは、二重の保護措置として、消費者に不当な不利益を強いることになりかねません。これは自由貿易の原則や市場の健全な競争の原則にも反します。過剰な保護で高価格を維持しても、音楽以外のエンタテインメントに対抗できなければ、ほんらいの市場活性化は望めません。

また、文化庁は曲が同じであれば、CCCD、CD、アナログ12インチが区別なく規制されると説明していますが、それは仕様のちがいのある各国盤の存在がポピュラー音楽学会の研究テーマや評論活動の対象やDJ活動の必需品として定着し、愛好者による売上増につながっている現状を無視したものです。

ゆとりのある社会を築くためには、音楽文化の多様性や音楽情報の公開が欠かせません。そういう社会が次代の創作活動を支え、アーティストにもレコード会社にも消費者にも実りをもたらすのです。いまの日本はCDなどに関して世界で最も音楽情報に恵まれていると言われていますが、その素晴らしい環境を築いてきた先人の努力を無駄にしないためにも、日本の音楽文化を、さらには世界の音楽文化をますます豊かなものにするためにも、ミュージック・ペンクラブ・ジャパンは今回の法案のよりいっそうの慎重な審議を求めます。

ミュージック・ペンクラブ・ジャパン 会長 石田一志