AUDIO REVIEW
「左右連携のワイヤレス化を達成。音質と設置性の高度な両立」
テクニクス SC-CX700
¥352,000(税込)
※外装色はテラコッタブラウンとチャコールブラックの2色
問い合わせ=パナソニック
https://jp.technics.com/products/
活況を呈しているワイヤレス、アクティブスピーカーの分野に強力な新製品が現れた。アンプからスピーカーまでのテクニクスのオーディオ技術を横断的に網羅、さらにレコーダーを始めとするパナソニックのデジタル技術が注ぎ込まれてSC-CX700が誕生した。内部にマルチチャンネルアンプを内蔵するが、LRの2本のスピーカーは独立し連携用のケーブル接続なしで、96KHz/24bitのサンプリングレートで音楽データを共有する。この左右ワイヤレス化で設置の自由度が画期的にひろがることだろう。(ただし、LRともAC電源ケーブルの接続は必要)付属のスピーカーケーブルを使用して有線接続とした場合は、最大192KHz/24bitまで伝送が可能だ。
スピーカーの動作上の問題の原理的な解決にも取り組んだ。MBDC(Model Based Diaphragm Control)は、振動板の動作ストローク増加で生じる駆動力の低下と高調波歪みに対し、信号処理プロセッサーが音楽信号に応じてリアルタイムに逆補正信号を生成して対処する新機能だ。
同軸2ウェイスピーカーのユニットも新しい。従来のドーム型に替えてリングトゥイーター採用の同軸ユニットを開発し搭載した。トゥイーター振動板からバッフル面まで障害物のない形状(Smooth Flow Diaphragm)も特徴だ。
アンプブロックはデジタルのチャンネルデバイダーと高域ドライブ用、低域ドライブ用のマルチアンプで構成。もちろんフルデジタルアンプ。同社が実績を積み重ねてきたJENO Engineによって伝送過程で発生するジッター(時間軸のゆらぎ)を削減する。
入力はBluetooth、Wi-Fi、AirPlay、Google Cast、Spotify、Amazon Music等々の他、有線入力はHDMI ARC、有線LAN、光デジタル、さらにフォノ(MM)まで対応する。
この新機能、新技術のカタマリのようなワイヤレスアクティブスピーカーが¥352,000というごく一般的な価格で発売されたことに驚嘆する。海外のハイファイメーカーの製品だったらゆうに百万円を突破したはずだ。テクニクス=パナソニックの技術力、総合力あって誕生したゲームチェンジャーである。(大橋伸太郎)