ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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Audio Review

- 最新号 -

AUDIO REVIEW

「DALI SONIKシリーズ レギュラーラインの中核が
KOREテクノロジー注入で進化」

SONIK1 ¥90,200 (ペア)
SONIK3 ¥129,800 (ペア)
SONIK5 ¥181,500 (ペア)
SONIK7 ¥136,400(1本)
SONIK9 ¥215,600(1本)
SONIK/ONWALL ¥132,000(ペア)
SONIK1/CINEMA ¥93,500(1本)
問い合わせ先=ディーアンドエムホールディングス
http://dm-importaudio.jp/dali/index.html

左奥から時計回りで順にSONIK1,3,5,7,9,SONIK1/ONWALL,SONIK1/CINEMA
外装色は、画像のブラックアッシュのほかウォールナット、ナチュラルオーク、ホワイトの計4色を用意。

 デンマークのスピーカー専業ダリは2022年に自社のスピーカー技術をすべて傾注してKORE(コア)を完成。それ以降、レギュラーラインに順次コアの技術要素を注入して発展させているが、同社最多販売ラインのOBERON(オベロン)がSONIK(ソニック)に生まれ変わった。ブックシェルフとフロアスタンディング、さらにセンター、オンウォールから成るシリーズの構成、各機種の外形寸法は変わらない。しかし、ドライバーユニットから、ネットワーク回路、エンクロージャー、ターミナル(接続端子)にいたるまで既発の上位ライン同様に細かな改良が加えられていて興味深い。
 最大の関心はトゥイーターの進化にある。フロアスタンディング型上位機SONIK7,9にKORE由来のハイブリッドトゥイーターが搭載された。29mm口径のソフトドームと17×45mmのプレーナー(リボン)型を1ユニットに組み合わせたもので、再生帯域を拡張。低損失、広指向性を実現した。
 中低位域ユニットも改良の手が加えられた。13mm(KORE1,5,ONWALL,CINEMA)、18cm(3,7,9)のウッドファイバーコーンは振動板にパターンを施したクラリティコーンを新たに採用した。入力時の分割振動を回避し歪み発生を抑えるためである。SMC(Soft Magnetic Compound)使用のエッセンシャル・マグネット・システムを採用。鉄製ポールピース上部にSMCディスクを装填。純鉄製ポールピースのみの場合に比べ、第三次高調波歪みを軽減した。
 他に低共振キャビネットはCNC加工によるMDF製、バスドライバー専用チャンバー(音響室)を設けるなど、随所に着実な進化がみられる。5,7,9には新設計のアルミ製のスパイク・アウトリガー(脚)が付属、アルミ製ターミナルはダリ内製品である。ただし、シングルターミナルとなる。

 川崎市日進町のディーアンドエムホールディングス・マランツ試聴室でSONIK1,3,5,7,9を試聴した。OBERONからの最大の変化は帯域の拡張とフラットレスポンス化である。フロア型大型機の7,9はローエンドまで伸び、応答が最低域から高域までむらなく整っている。いっぽうでダリの音調であるクラリティ(透明感)は上位機種同様にしっかりキープされている。ハイブリッドトゥイーター搭載の7,9はさすがに高域限界と解像力に優れ、音楽の描写に克明感があり、ひとまわり大きな音場表現を聴かせるが、ソフトドームだけの1,3,5のなめらかで丸みのあり表現も魅力がある。
 欧州製スピーカーのなかでダリは、音が引っ込まず音像の輪郭が鮮明でしっかり前に踏み出してくることが持ち味だ。クラシックからロックまでジャンルを選ばない。デンマークがヨーロッパのジャズのメッカであることを思い出すべきだろう。音楽再生のユーティリティプレーヤーでありつつ、低廉な価格を実現したSONIK3,5は、すべてのミュージックラヴァーにいま最も安心してお薦めできるスピーカーといえよう。
 着実な進化を遂げたSONIKだが、特筆すべきは、OBERONからの価格上昇が小幅に抑えられ、販売の中心と期待されるSONIK3,5,ONWALLでは据え置き!となっていることだ。磁気回路とドライバーユニットの主要部品の鉄、銅、アルミ、さらに随所に使用される石油樹脂製品、エンクロージャーの木材まですべてが高騰しているにもかかわらず、である。ダリの良品思想、ユーザーに寄り添う姿勢と堅実な市場観がうかがえるSONIKシリーズである。
(大橋伸太郎)