ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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Popular Review

- 最新号 -

ALBUM Review

Kelley Johnson
SOMETHING GOOD

OA2 Records OA2 22173

 ケリー・ジョンソンのフレッド・ハーシュとの1998年のデビュー・アルバム「Make Someone Happy」以来、5作目となる作品。彼女は、ミッドウエストで育ったが、シアトル近辺での活躍も永かった、アメリカ政府のジャズ大使のプログラムの世界各国のツアーの一環で日本にも来たことがある。本アルバムは、旦那のジョン・ハンセン(p)とマイケル・グリン(b)、そして、ブルー・ノートにもリーダー・アルバムのあるケンドリック・スコット(ds)のトリオにマルチ楽器奏者のジェイ・トーマスが3曲で加わる息の合ったクリエーティブなグループと共に歌う作品。スティーブン・ソンドハイムの「Anyone Can Whistle」、ザ・カーペンターズの「Goodby To Love」などあまりジャズでは歌われないナンバーをスキャットなども交えてジャジーに歌う所から始め、「Lullaby Of Birdland」,「Let’s Do It」等スタンダードを中心の10曲を落ち着いた声のカーメン・マクレエを柔らかくしたような感じの歌で聞かせる。ブロッサム・ディアリーの歌った「You For Me」は、アップテンポで後半は、スキャットとフェイクを使って迫ったり、タイトル曲の「ザ・サウンド・オブ・ミュージック」からの「Something Good」は、ハンセンのピアノ・ソロもはさんでしっとりと物思うように聞かせたり味わいのあるアルバムだ。(高田敬三)

ALBUM Review

Kelley Suttenfields
WHEN WE WERE YOUNG (Sings Neil Young)

MC Promotion mcpro@earthlink.net

  ケリー・サトゥンフィールズは、ニューヨークを中心に活躍するジャズ系シンガー。本アルバムは、2009年の「Where Is Love」, 2014年の「Among The Stars」に続く、彼女の第3作目になる。彼女の永年のアイドル、シンガー・ソングライターの二―ル・ヤングの作品を彼女を良く知るギターのトッシ・シェリダンのフレッシュで大変気の利いたアレンジで歌うアルバム。温かで聴き手を包み込むような歌でヤングの一番のヒット・ナンバー「Heart Of Gold」を奇麗なストリングスを使ったアレンジで歌ったあと、良く知られる「Harvest Moon」をドラマティックに歌い、彼女が昔から好きだったという「Only Love Can Break Your Heart」へと歌い繫いで行く。ニール・ヤングを表から裏から研究しているらしい彼女の歌だ。彼女の二―ル・ヤングへの傾倒ぶりは、めったに歌われない「Fool For Your Love」や「Barefoot Floors」を取り上げているところからも計り知れる。最後の老いと死を歌った有名な「Old Man」が余韻を残す。フォーキーな色の濃いジャズといった彼女ならではのヴォーカルだ。(高田敬三)

ALBUM Review

山口いづみ~ロマンティック・ジャズを唄う/山口いづみ

CRAFTMAN RECORDS:CMRS-0073

 名女優、山口いずみの最新作。実は、ヴォーカリストとしての山口のキャリアは長い。17歳のとき、『緑の季節』で、歌手デビューした。その後も、『小さな秘密』など、順調に歌をリリースしていた。しかし、女優業がとても忙しくなり、歌手活動は中断した。2009年から再び本格的に歌手活動を始めた。そして、『山口いづみ~ボサノヴァを歌う』(2010年)、『マイ・フェイヴァリット・ソングス』(2015年)、『山口いづみ~夜を唄う』(2016年)と、圧倒的な存在を放つ良質な作品群を発表した。毎回、自在にいろんなテーマに交信している。
 本作は、それらに続く4作目に当たる最新作で、ジャズのスタンダードに本格的に取り組んだ珠玉の一枚である。演奏は、リーダー、松尾明(ds)による遠藤征志(p)、熊谷望(b)とのトリオ。遠藤征志の美しいピアノが、聴きどころだ。また、山口は、花れん(vo)、森真美(vo)を加えて3声コーラスを披露する。これが、たまらなく綺麗だ。選曲も、とてもセンスがある。すなわち、山口いづみのヴォーカリストとしての真価が発揮された充実の作品だ。
 さて、山口いづみは、しなやかな自然体でジャズの伝統を受け継ぎ、スタンダードを唄っている。その優しい歌声は、まるでノラ・ジョーンズのように、心を癒してくれる。悲しみや疲れを和らげてくれるのだ。「ムーンライト・セレナーデ」は、グレン・ミラー楽団のテーマ曲である。山口は、花れんと森真美との3声コーラスで、丁寧に歌い上げる。夢見るように美しい。ビル・エヴァンスの名演でお馴染みの「あなたと夜と音楽と」は、“凛”とした山口の歌声が心地好い。また、山口は、恋の先行きを不安視する女性の心理を絶妙に綴っている。続く遠藤征志のピアノ・ソロも綺麗だ。ホーギー・カーマイケルが書いた「スターダスト」は、万人に愛されているエヴァーグリーン。山口の歌声は、みずみずしく美しい。アルバムのタイトル通り、ロマンティックに歌い、とっても素敵だ。(高木信哉)