ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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Popular Review

- 最新号 -

ALBUM Review

Ann Burton
アーリー・ブルー

ミューザックMZCQ 1390

 アン・バートンが亡くなってから、もう30年になる。最近、彼女の遺品を保管していた彼女の甥が、そのすべてをDutch Jazz Archivesに寄贈した。それらを整理している中で彼女の初期の未発表録音のアセテート盤やテープが発見され、それらと今まで再発されたことのないコレクターズ・アイテムのデッカの彼女の正規録音のEP「Sing A Rainbow」を軸にして作られたものが本アルバムで、殆どが未発表のレアな録音だ。1967年に録音した初LP、「Blue Burton」がエジソン賞に輝き、一躍有名になる前の1958年のアコーディオンのマット・マシューズ・クインテットとの2曲、同年のドン・ゲィズ・グループとの2曲、63、4年のクラシック・ジャズ系のダウン・タウン・ジャズバンドとの3曲等などアップ・テンポでスイングする歌も含め全24曲、若々しいアンの歌が聞ける。放送録音の「They Didn’t Believe Me」等を聞くと歌詞に気持ちを込めて語りかけるように歌う彼女のスタイルがすでに形成されていた事もわかる。オランダのジャズ評論家、Rudie Kagieのライナー・ノートと珍しい写真が満載の36ページからなるブックレットも嬉しい。蛇足ながら、筆者も今回の企画に協力を頼まれ、ダウン・タウン・ジャズバンドやフラミンゴ・コンボとの録音を推薦した。そして多分、1958年の録音と思われる彼女がクラリネットのカルテットと歌った「He’s Funny That Way」,[Can’t Help Loving Dat Man]、「If I Had You」の音を提供したが、CD用には音が悪すぎた。(高田敬三)

ALBUM Review

Simone Kopmajer
Christmas

LMR 20-3

 ヴィ―ナス・レコーズから数々のアルバムを発表して日本でも人気のオーストリア出身のシンガー、シモーネ・コップマイヤーの最新作は、クリスマス・ソング集。2003年録音のデビュー・アルバムから付き合っているピアノのジョン・ディ・マルチーノを中心にテリー・メイヤー(ts)、アーロン・へィク(ss、as.cl),アラン・ハリス(vo)等数多くのジャズ、フォーク畑のアーテイストが参加、コロナ禍でロックダウンなど行われる中、ジョンとボリス・コズロフ(b)がニュー・ヨークで録音、それにアーロン・へィクが自宅で音を被せ、オーストリアでシモーネが他のパートを録音したというリモート録音だ。シモーネは、可愛らしく明るく魅力たっぷりな歌で、クリスマス定番の「Jingle Bell」,[White Christmas],[Christmas Song」や「Baby It’s Cold Outside」にオーストリアのクリスマス・ソング等も交えて16曲を聞かせる。殆どを受け持ったジョンのアレンジも素晴らしく、曲の配列も良くシーズンにふさわしい楽しめるアルバムだ。リモート録音は、昔からあるが、こういう大掛かりなアルバムが簡単にリモートで出来てしまうのだな、とこれからの音楽録音について少し考えさせられるアルバムだ。(高田敬三)