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LIVE Review
アレックス・コウ・トリオ
4月6日 横浜・ドルフィー
アレックス・コウはベルギーと日本をルーツに持つ中堅ピアニスト。アムステルダム、コペンハーゲン、ニューヨーク大学(スタインハート校)の音楽院で奨学金を得て学び、現在はルーヴェンの LUCA 芸術大学でジャズ・ピアノ教授を務めている。5歳でクラシックを始め、10代でジャズを知り、ブラッド・メルドー、ケニー・ワーナー、カート・エリングらから称賛を受けた。これまでマーク・ターナー、ラルフ・アレッシ、アンブローズ・アキンムシーレらと共演、25年発表の新作『Blame It on My Chromosomes』(我が染色体のせい)も気持ちの良い作品だった。岡本太郎度40%ぐらいのジャケット・デザインも目に残るし、スタンダード・ナンバーとかブルース・フィーリングとか、そんなところとは違う目線で彼なりのジャズをやっているところがすがすがしいと思った。レナルト・へインデルス(b、1990年生まれ)、ドレイ・パレマルツ(ds、1964年生まれ)との今回の来日公演も、即興をほどよく含むアレックスの入念なコンポジションをじっくりと味わう感じ。エンニオ・モリコーネの楽曲からヒントを得たらしい「イーグル・オブ・ザ・サン」が“架空のマカロニ・ウェスタン主題歌”という感じで飛び切りキャッチーだった。(原田和典)
MOVIE Review
映画『メレディス・モンク 踊る声、歌う身体』
(監督:ビリー・シェバー、デヴィッド・C・ロバーツ 7月25日より公開)
“ECMニュー・シリーズから数々の作品を発表している、とびきりクリエイティヴなアーティスト”、それが私のメレディス・モンク観である。いいかえれば、逆に、そのくらいのざっくりした印象しかなかったのだが、この映画はイメージを上下左右に拡げ、メレディスという人間、彼女が携わってきた芸術への関心を一気に高めてくれる。彼女を敬愛してやまないビョークやデヴィッド・バーンの登場も嬉しいところだし、『ドルメン・ミュージック』を始めとする名盤にもしっかり触れられているのもありがたい。彼女の母がオードリー・マーシュであることを私はここで初めて知った。「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」などのスタンダード・ナンバーを、ほぼ最初に歌った往年の名シンガーである。オードリーは、ほかにラジオのジングルなども数多く手がけたようだが、「与えられたものを上手にこなす」母に対し、メレディスはオリジナルなものを仲間たちと、ほぼ格闘するような形で創造してゆく道を選んだ。40数年間連れ添った愛亀“ニュートロン”もいい味を出す。(原田和典)
監督:ビリー・シェバー、デヴィッド・C・ロバーツ
出演:メレディス・モンク、ビョーク、デヴィッド・バーン ほか
配給:ユーロスペース
2025年/95分/アメリカ、ドイツ、フランス/原題:Monk in Pieces
MOVIE Review
映画『エレファント6 レコーディング・カンパニー』
(監督:チャド・ストックフレス 7月31日よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、シネマリスほか全国順次公開)
エレファント6 レコーディング・カンパニーとは、ざっくり言えばロック・レーベルの名前だ。とある画伯の絵を見たときに抱いた印象に基づいて命名された。私は世紀が変わる頃、ロック雑誌に知り合いがいたのでアップルズ・イン・ステレオなどのバンド名は知っていたが、では当時の自分がそれをよく聴いていたかというと全然そんなことはない。ジャズ雑誌の編集長をしていたこともあってジャズ以外に時間を割くのは困難に近かった。だから私は2026年時点での“エレファント6新規”ということになろう。アメリカ南部のルイジアナ州ラストンで、自分とほぼ同世代の者たちが、限られた空間や予算のなかで、こんなにも面白いことをつくりだしていたという事実に(日本のナゴムレコードにも通じようか)、「当時、自分がラストンにいたら参加を申し出ていたに違いない」との思いを強くさせられたし、だがそのサウンドにはビートルズやビーチ・ボーイズら先達への楽曲から受け継いだものもしっかりとあって、地に足のついた新しさが何とも快い。ビル・ドス(オリヴィア・トレマー・コントロール)の追悼ギグで仲間たちが集まって演奏するナンバーがサン・ラーの楽曲、というあたりも心に迫った。(原田和典)
監督・製作・撮影 :チャド・ストックフレス
出演 :ロバート・シュナイダー、ビル・ドス、ウィル・カレン・ハート、ジェフ・マンガム他
2022 年/93 分/アメリカ/原題:A Future History Of: The Elephant 6 Recording Co.
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