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LIVE Review
グレゴリー・シャール「コレージュ・ヴォーカル」
1月23日 駐日カナダ大使館 オスカー・ピーターソン・シアター
「SING FROM KOBE 国際合唱フェスティバル&コンペティション」にカナダ代表として参加した合唱団が東京でコンサートを開いた。17名の団員を率いるグレゴリー・シャール(Gregory Charles)はケベック生まれの音楽家/司会者でカナダ勲章(オフィサー)受章者。一時期セリーヌ・ディオンのツアーにバック・ヴォーカルやピアノで参加していたこともある。よき指導者を得てコレージュ・ヴォーカルの面々は大いに生き生きと歌い、大いにハモリ、大いに観客を楽しませた。演目はミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」からのメドレー、日本の唱歌から「浜辺の歌」、レナード・コーエン作「ハレルヤ」、エドウィン・ホーキンス・シンガーズが大ヒットさせたゴスペル「オー・ハッピー・デイ」、英語とフランス語で歌われた「オー・カナダ」等。なかでも今回の来日のために用意されたという「HEIWA Song」は、ダンス・パフォーマンスも含めてこの日のハイライトであると感じた。ところでグレゴリーは8歳の時にオスカー・ピーターソンに会ったことがあるとのことで、そのときの思い出話もまじえながら、少々だがジャズ・タッチのソロ・ピアノ演奏を聴かせてくれたのも収穫だった。(原田和典)
MOVIE Review
映画『パワー・トゥ・ザ・ピープル:ジョン&ヨーコ・ライヴ・イン・NYC』
監督:サイモン・ヒルトン 4月29日よりTOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ なんば ほか公開
1972年8月30日にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われた歴史的コンサートの記録。この日の熱狂をすでにレコードや映像作品(それぞれ編集は異なる)で味わってきたファンも多いことだろう。私もそのひとりだが、この映画が持つ迫力は段違いであると感じた。驚くほど鮮明で、しかもガッツを感じさせる映像。バンド・サウンドの熱を伝えながらも適度に分離されている音響。そしてマルチスクリーンによる構成。きくところによるとスタッフは20年の歳月をかけて一コマずつ手作業で修復してきたそうだ。ジョンはこの後、フルセットによるライヴをしていない。「マザー」や「イマジン」をナマで聴けたファンがうらやましい。ツイン・ドラムの効果にもすっかり嬉しくさせられるし、この時点でサックスにコンタクトマイクがつけられているのも相当に新しいのではないか。ジョンの「コールド・ターキー」からヨーコの「ドント・ウォーリー・キョーコ」へとグルーヴが持続して、実にかっこいいメドレーになっているのも素敵だ。「平和を我等に」は、ステージに数々の音楽家や関係者があがっての一大セッション。『トーキング・ブック』リリース2か月前のスティーヴィー・ワンダーが圧倒的な輝きを放つ。(原田和典)
タイトル: パワー・トゥ・ザ・ピープル:ジョン&ヨーコ・ライヴ・イン・NYC
監督: サイモン・ヒルトン
製作: ショーン・オノ・レノン、ピーター・ウォースリー
出演: ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、プラスティック・オノ・バンド、エレファンツ・メモリー、スティーヴィー・ワンダー ほか
海外公式サイト: powertothepeoplefilm.com
MOVIE Review
映画『ジェイムズ・ブッカー 愛すべきピアノ・ジャンキー』
監督:リリー・キーバー、5月29日よりシネマート新宿、恵比寿ガーデンシネマ、アップリンク吉祥寺ほか全国ロードショー
日本でジェイムズ・ブッカーがこんなに話題になるとは。この原稿を書くまでに複数のひとと彼について話したりメールのやりとりをしたが、少なくともこうしたことは私が音楽ファンになってから(ということはつまり五十余年)初めてのことだ。タッチのキレ、演奏の親しみやすさ、時代を先取りするような汎ジャンルの選曲、どれも“ブッカーに出会ってよかった”という気持ちにしてくれることだろう。そして彼は、もうこの世から除去されて久しいといえる“破滅型の天才”タイプでもあった。いかに悩み、葛藤し、時には陰謀論のようなものにとらわれていたかについては映画の中で触れられているが(隻眼になった理由については諸説ありすぎて要するに不明)、生前ラストのアルバムであろう『クラシファイド』のフォト・セッションや、そのジャケットを持ってうつるスナップ写真における嬉しそうな表情にはホッとさせられた。ハリー・コニックJr.が「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」を題材に“ブッカー流スタイル”を実演するところ、ドクター・ジョンがブッカーから教わったことをオルガンで実践するシーンには改めて彼の存在の大きさを痛感し、ウォルト・ディッカーソンやメアリー・ルー・ウィリアムズと共演したベーシストのユースティス・ギルメットとブッカーの間に交流があったことにも嬉しい驚きを覚えた。(原田和典)
PHOTO by Anton Corbijn
2013年/アメリカ/98分/1.78:1/原題:BAYOU MAHARAJAH/日本語字幕:小山朋子/字幕監修:ピーター・バラカン/配給・宣伝:キングレコード
出演:ジェイムズ・ブッカー、ドクター・ジョン、ハリー・コニックJr.、チャールズ・ネヴィル、アラン・トゥーサン、アーマ・トーマス、ヒュー・ローリー、ジョー・ボイドほか
©2016 BAYOU MAHARAJAH,LLC
公式サイト:james-booker.com 公式X:JB_piano_junkie