ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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Popular Review

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ALBUM Review

Mayita Dinos
THE GARDEN IS MY STAGE

Dash Hoffman Records DHS 1025

  ロスアンジェルスに住むプエル・トリコ出身のメイータ・ディノスの初アルバム。彼女は、本業は造園技師だが子供の頃から歌が好きで祖母について歌っていたという。俳優である旦那の勧めでピアニスト、作曲家のハウレット・スミスのジャズ・ワークショップに参加、歌手のキャシー・シーガル・ガルシア等から本格的に学び、ジャズ・クラブで歌うようになったという。本CDは、ダン・デヴィラがプロデューサーとなり、現地のギタリスト、ドリ・アマリリオを共同プロデュ―サー兼アレンジャーに迎えて作られたものだ。造園技師である彼女は、自然というものを大切にする、そんな関係で、草木や虫など自然界のものを歌った歌を選び、それらを彼女がどう感じているかを絵に描いてアマリリオに示してアレンジがなされたという。それらの曲ごとの絵が小冊子でついていて興味深い。チャーリー・パーカーの「Ornithology(鳥類学)」に自分で詞をつけたものから始まりスティビー・ワンダーの「Com Back As A Flower」,モンクの「Pannonica」、ジョニ・ミッチェルの「Wood Stock」, ビリー・ストレイホーンの「A Flower Is A Lovesome Thing」、ジョビンの「Agua de Beber(おいしい水)」等など全13曲の選曲も大変気が利いていて魅力的だ。アマリリオが選んだ現地のミュージッシャン、ビル・カントス、リッチ・イームス(p)、ゲーブ・デビス(b)、ハッサン・ジフリー(el.b)マイケル・ハンター(tp、flh、)アレックス・バッドマン(fl, cl.,ss),スティーブ・ハス(ds)、ティキ・パシラス(perc)もギターのドリ・アマリリオを中心にそれぞれ素晴らしいいサポートぶりを見せる。メイータ・ディノスは、歌に対する彼女の気持ちを人間味溢れる優しい表現で伝えてくれる。初アルバムとは思えない、内容の充実した完成度の高い作品だ。(高田敬三)

ALBUM Review

Dana Sandler
I Never Saw Another Butterfly

Danasandler.com

  ダナ・サンドラーは、ニューイングランド・コンサーヴァトリー・オブ・ミュージックでジャズ・ヴォーカルのマスター・ディグリーを取っている歌手だが、ボストンの病院の小児科医師を務めている。本アルバムは、1959年に発刊された同タイトルの第二次大戦中にナチに捉えられ強制収容所に送られたユダヤ人の子供達の書いた詩と絵を纏めた本に触発されて彼女が作曲した歌を歌った作品でホロコースト・リメンバランス・デイ(4月21日)に発表になった作品。本の作者は、収容所でこっそりと子供達に詩や絵を教えていた女性でアウシュビッツで殺されている。彼女が隠していた詩や絵などをもとにしたものだという。アルバムは、4人の詩人の作品を連曲で歌うもので、ピアノ、ベース、トランペット、フリューゲル・ホーン、アルトサックス、クラリネットとドラムスによる、全体的にお経をきくような抑揚の少ない祈るようなムードの室内楽的な演奏から始まりダナの透明感のある奇麗な歌声でそれぞれの詩が表現される。重苦しいバックグラウンドを持つ歌だが、そんな中でも悲しみだけが強調されるのではなく、子供らしい明るさといったものも感じられ決して暗い後味を残すアルバムではない。大変ユニークなジャズ・ヴォーカル・アルバムだ。(高田敬三)

ALBUM Review

ジェジュン「Brava!! Brava!! Brava!!/Ray of Light」

  韓国出身のアーティスト、ジェジュンは2004年ボーカルグループのメンバーとしてデビュー。翌2005年日本活動を開始。2010年グループ離脱後は韓国にて活動していたが、2018年2月にソロ歌手として日本活動を再始動させた。
 「Brava!! Brava!! Brava!!/Ray of Light」は3月に発売した3枚目シングルのスペシャル盤が今回発売される。「Brava!!…」はアップテンポな明るい楽曲であり、「Ray…」はTBSアニメ「ランウェイで笑って」のエンディング曲。しっとりと歌い上げるバラード曲だ。彼のポップな歌声と甘いハイトーンボイスという対象的な歌声を収録したものとなっている。「Brava!!」は最近のJPOPの特徴的傾向である言葉数が非常に多い楽曲だが、彼はテンポに遅れることなく見事に言葉を処理しており、「Ray …」では言葉の一言一言を大切に歌い綴っている。
 この日本語の処理能力は彼が韓国人であるというハンディーを全く感じさせず、歌手としての強力な武器となっている。彼が歌うJPOPカバー曲が高い評価を受けているのもこうした点が理由の一つであり、昨年発売されたカバーアルバム「Love Covers」はレコード大賞企画賞と日本ゴールドディスク大賞を受賞している。(松島耒仁子)