ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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エッセイ

最新号

楽しいミュージカル座の「マリオネット」

本田悦久(川上博)

マリオネット 人形職人と可笑しな人形たちが繰り広げるファンタジー・ミュージカル「マリオネット」が東京・品川の六行会ホールで、5月16日から20まで5日間、8回上演された (筆者の観劇日は19日の昼)。
 舞台はパリの下町、ピエール (高畑岬)は、幼い頃、お祖父さんが造った時計台の完成を喜び、鐘突きのからくり人形をソフィー (小林風花)と名付けた。やがて大人になったピエールは、人形職人になり、時計台広場で露天商となったが、作品の人形が売れず、悲観的になっている。露天商仲間のサンドラ (有希九美) 、モーリス (黒沼亮)、フローラ (香本真梨奈) が、常連客や観光客相手に生き生きと商売を始める。一方ピエールときたら、売り上げがないので、ショバ代も払えない。落ち込むピエールをモーリスは、ダンス・ホールに誘う。ダンス・ホールで、フローラの友人サラ (野村珠々) を紹介されるが、ベルトにスカートがひっかかり、サラに恥をかかせてしまう。
 意気消沈したピエールは、時計台の前で亡き祖父を思い、祖父から贈られた鈴を鳴らすと、急に雲行きが怪しくなり、時計台に強烈な落雷。その衝撃で階段から転げ落ち、頭を強打したピエールの前に、ハンマーを担いだ娘が現れると、突然キスをして立ち去ってしまう。まさか、等身大の少女がソフィーとは気づかず、混乱するピエールだったが、ハンマーを担いだ娘が不審者として警察署へ連行されたと知り、彼女がお祖父さんの造ったからくり人形と気づき、彼女を引き取る。ピエールはからくり人形とばれないように、端切れでスカートを作って、彼女に着せる。露天商の仲間は、ピエールに親戚の娘だとソフィーを紹介され、少し風変わりなソフィーを温かく迎える。
 ピエールの子供の時から時計台から見守ってきたと話すソフィーに、ピエールは手作りの人形たちが売れないと悩みを打ち明ける。「人形たちと話すといい」と勧められ、言われる通りお祖父さんの形見の鈴を鳴らすと、ピエールの造った人形たちが次々と現れる。優柔不断なアーサー王、青い鳥が見つからず自暴自棄になったチルチル、ナポレオン、ジャンヌ・ダルク、白雪姫、毒リンゴが作れない魔女まで次々と姿を現し、舞台は楽しさ満載というものの、どの人形も今一つ魅力に欠けている。最後に顔にバツ印をつけた少年が現れ、漸くピエールは優柔不断で、積極性に欠ける自分のせいで、人形たちも、どこか魅力に欠けていると気づく。ピエールは一念発起、アーサー王には、伝説の剣、エクスカリバーを作って手渡し、他の人形たちにも寝ずに作ったアイテムを手渡す。ピエール同様、人形たちも自信を取り戻していく。ソフィーに助けられ、活気を取り戻したピエールを見届け、ソフィーは人形の世界に戻っていく。
 脚本・作詞は竹本敏彰、作曲・編曲は木村直樹、演出: 大塚庸介、振付: スズキ拓朗。気のいい露天商たちの繰り広げる歌、「町の露天商」「踊りに行けば」「パリの愛の歌」、人形たちのファンタジックな歌と踊り、「キノコおじさん」「お姫様になれた」「白雪姫」、パリ色満載な「セ・ラ・ヴィ」等のミュージカル・ナンバーが楽しい。