最新号
吉田美和の“言葉の強度”と声の支配力
久道りょう
NHKで放送された『SONGS』700回スペシャル、DREAMS COME TRUEを拝見した。
「うれしい!たのしい!大好き!」「決戦は金曜日」「あなたとトゥラッタッタ♪」などの代表曲に加え、「東京magic hour」が披露されたそのステージを通して、あらためて強く感じたのは、吉田美和というアーティストの“強さ”である。
この強さは、声量や表現力の高さだけでは説明できない。
むしろ、歌い出す以前、言葉の段階ですでに勝負が決まっている点にこそ本質がある。
彼女のタイトルは象徴的だ。
「決戦は金曜日」「何度でも」「バイバイ」「泣きたい」「晴れたらいいね」――
どれも一言で感情の核を射抜き、瞬時に物語を立ち上げる力を持っている。
それらは意味を伝えるための言葉ではない。
聴き手の内側にある記憶や感情を呼び起こし、物語を起動させる“スイッチ”として機能している。
そして、この言葉の強度を決定的なものにしているのが、吉田美和の声である。
彼女の歌声は、単に美しいのではない。
言葉の芯を崩さず、そのまま空間へと放つ力を持っている。
年齢を重ねてもなお透明感を保ち、むしろ深みと重心を増したその響きは、言葉と声が完全に一致している状態を示している。
だから彼女の歌では、言葉が空中に消えることはない。
一語一語が質量を持ったまま響き、聴き手の内側に確かに着地していく。
吉田美和の強さとは、言葉を選ぶ力でも、声で響かせる力でもない。
その両者を分離させず、言葉そのものを“声”として成立させてしまう点にある。
タイトルの一言から、歌声の一音に至るまで、すべてが同じ強度で貫かれている。
その一貫性こそが、時代を越えて人の心を動かし続ける理由なのである。
◆物故者(音楽関連)敬称略
まとめ:上柴とおる
【2026年2月上旬~3月下旬までの判明分】
・2/08:吉田耕一(筆名:杜こなて。音楽評論家。「ミュージック・ペンクラブ・ジャパン」元理事)79歳
・2/09:小杉真貴子(民謡歌手。2017年に日本民謡協会から最高位の「民謡名人位」を授与)77歳
・2/13:潮晴男(オーディオ評論家。「ミュージック・ペンクラブ・ジャパン」前会長)74歳
・2/14:隣雅夫(京都のバンド「だててんりゅう」のオルガン、ヴォーカル)74歳
・2/20:青木望(作・編曲家。TVアニメ「銀河鉄道999」の音楽も担当)94歳
・2/23:オリヴァー・“パワー”・グラント(米ヒップ・ホップ・グループ、ウータン・クランの共同創設者。プロデューサー。起業家)52歳
・2/23:サー・モンティ・ロック3世(元ディスコ・テックス&ヒズ・セックス・オーレッツ)86歳
・2/23:エリアーヌ・ラディーグ(フランスの電子音楽作曲家)94歳
・2/26:田隅靖子(ピアニスト。京都市立芸術大学、京都女子大学で教授。2005年「京都市文化功労者」、2020年「第38回京都府文化賞特別功労賞」。2009年~2019年「京都コンサートホール」館長)87歳
・2/26:ひのきしんじ(音楽プロデューサー。元俳優「怪人二十面相」の小林少年役。元歌手。元ラジオ・パーソナリティ。妻は本間千代子)81歳
・2/26:ロスコー・ロビンソン(米サザン・ソウル・シンガー)97歳
・2/27:ニール・セダカ(米シンガー・ソング・ライター)86歳
★「私の知ってるニール・セダカ」
https://merurido.jp/magazine.php?magid=00012&msgid=00012-1772455581
・2/27:小島美子(日本音楽史研究の第一人者。国立歴史民俗博物館名誉教授)96歳
・2/28:伊藤ヨタロウ(元メトロファルスのリーダー、ヴォーカル。音楽プロデューサー。俳優)70歳
・2/28:ジョン・ポール・ハモンド(米ブルース・シンガー、ギタリスト。父ジョン・ハモンドはレコード・プロデューサー)83歳
・3/01:ゲイリー・ウォーカー(ウォーカー・ブラザーズ~ゲイリー・ウォーカー&ザ・レイン)83歳
★「ゲイリー・ウォーカー『夜明けに恋はない』にまつわるややこしい案件。1994年に英米でヒットさせたドーン・ペンは『私が書いた曲よ』と主張するし」
https://merurido.jp/magazine.php?magid=00012&msgid=00012-1770793134
・3/02:レン・ギャリー(ビートルズの前身バンド、クォリーメンのメンバー)84歳
・3/03:木下あきら(秋庭豊とアローナイツ)77歳
・3/03:悠木圭子(作詞家。八代亜紀「なみだ恋」「しのび恋」など。元俳優。作曲家の故・鈴木淳と再婚)90歳
・3/07:カントリー・ジョー・マクドナルド(カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ)84歳
・3/07:ジェームス・ウォーカー(東京生まれ、横浜育ちのクォーターで元俳優。「大川修」名義で1959年~1972年まで「少年ジェット」「ザ・ガードマン」など人気TVドラマや大映を中心に多くの映画に出演。勝プロダクションにも所属。その後、カントリー歌手に。父・大川修一も俳優)86歳
・3/08:神足裕司(コラムニスト、フリーライター、TV番組コメンテーター。共著「金魂巻」で使った‘マル金(金持ち)’‘マルビ(貧乏)’が第1回新語・流行語大賞の流行語部門で金賞。グルメ・ガイド本「恨ミシュラン」も共著)68歳
・3/08:青空キュート(タレント。劇団あざみ座を経て青空球児・好児に弟子入りして1989年~1992年、漫才コンビ「CCP」でも活動。小林幸子公演の司会を7年間担当。2021年1月「日本司会芸能協会」理事長に就任。日大芸術学部演劇学科卒)68歳
・3/09:トミー・デカーロ(元ボストンのリード・ヴォーカル。2013年のアルバムに参加)60歳
・3/12:渡辺達生(カメラマン。グラビア写真家。雑誌「GORO」で1980年代のアイドル・グラビアを席捲。武田久美子の‘貝殻ビキニ姿’が話題。JAL沖縄キャンペーンなども)77歳
・3/13:フィル・キャンベル(モーターヘッドのギタリスト)64歳
・3/15:日高六男(元大関「若嶋津」。元松ヶ根親方、二所ノ関親方。妻は歌手の高田みづえ)69歳
・3/16:ドロレス・ケーン(アイルランドのフォーク・シンガー)72歳
・3/16:ウェイン・パーキンス(米セッション・ギタリスト。元レーナード・スキナードやストーンズへの加入候補。1972年、スミス・パーキンス・スミスを結成してアイランド・レコードからアルバムをリリース)74歳
・3/16:ベッティーナ・コスター(独ニュー・ウェイヴ・バンド「マラリア!」)66歳
・3/17:二村成夢(高校生のラッパー「Klaus」)18歳
・3/23:チップ・テイラー(米シンガー・ソング・ライター。「ワイルド・シング」「エンジェル・オブ・ザ・モーニング」など多数)86歳
★「‘公私’共にお世話になった大ソング・ライター、チップ・テイラー(86歳)」
https://merurido.jp/magazine.php?magid=00012&msgid=00012-1774526448
・3/23:田邊稔(コントラバス奏者。日本フィルハーモニー交響楽団元理事長)91歳