ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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第33回ミュージック・ペンクラブ音楽賞受賞のことば

■クラシック部門

●独奏・独唱部門
小菅優(ピアノ)

小菅優様

写真  この度はミュージック・ペンクラブ音楽賞のような名誉な賞をいただくことを大変嬉しく光栄に思っております。
 パンデミックも今年2年目に入りました。昨年は改めて社会においての音楽の位置や文化の必要性について考えさせられました。今年は、とにかく今芸術において何ができるかを探り、ひとつひとつ実行していくことに集中しています。自分の道に忠実に何を実行し、何を拒否するか。今だからこそその道をはっきりさせ、まっすぐ歩んでいかなくてはいけないと感じています。
 ソロ、室内楽、オーケストラとの共演などそれぞれを温めることによって、「ピアニスト」から徐々に「音楽家」へと成長したいと心がけています。芸術作品の伝達に集中し、作品ひとつひとつの歴史を振り返り、ときには音楽仲間たちと作品を分かち合い、お客様に心を込めて本質を伝えることは、芸術家としてだけではなく人間的にも重要に感じます。人間が共に生きていくために芸術は欠かせないはずなのに、昨年は「不要不急」とその価値を疑わせられましたが、今年は人間の心のためにどれだけ大切か、確信へとつながったと思います。
 今沢山の気づきと学びがありますが、その一つ一つを大切に、今後の活動に繋げていけたらと思います。今回の受賞が大きな勇気を与えてくださり、自信をもって今後の企画や公演に向かうことができることへ、心から感謝を申し上げたいと思います。

●室内楽・合唱部門
篠崎“まろ”史紀「MARO ワールド」

株式会社王子ホール 代表取締役社長 星野桃子様

写真  「マロワールド」…それは楽しい共演者、温かいお客さま、信頼するスタッフからなる三位一体の調和が育てた唯一無二の空間。そして、「現在・過去・未来」の時空を超え、音楽を讃える天使が舞い降りる場所です。今回の受賞は、「マロワールド」に関わる全ての人が支えてくださったおかげです。重ねてお礼申し上げます。なにより皆様との心の繋がりを大切にする「マロワールド」を、今後も愛し続けていただけたら嬉しいです。(Fuminori Maro SHINOZAKI、ヴァイオリニスト)

 人々の心の中にある帰る場所…。その場に集うすべての人が幸せでいられる音楽会を創りたい…。その夢を実現したのが「MAROワールド」です。類い稀なる人間力を持つまろさんとの出会いがあってこそでした。まろさん、ありがとう。選者の皆様、この度の受賞は何よりも嬉しく、励みに存じております。ありがとうございます。そして、「MAROワールド」を支えて下さっている音楽家の皆さん、お客様、スタッフ、すべての方々に感謝申し上げます!

●オペラ・オーケストラ部門
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

公益財団法人びわ湖芸術文化財団
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール理事長・館長 山中隆様

写真  このような素晴らしい賞をいただき、とても光栄です。
 《神々の黄昏》の無観客上演から1年以上が経ちますが、コロナは収まる気配がありません。しかしながら、昨年4、5月こそ休館を余儀なくされましたが、その後は沼尻芸術監督のリーダーシップのもと、広い舞台や劇場専属の声楽アンサンブルを有効に使って、「ホールを止めるな!」を合言葉に、今できることに挑戦し続けました。
 職員から提案のあった数々の事業を具現化していきましたが、中でも、県下の小学生をホールに招いての音楽会が中止になった(今年は2年ぶりに開催)代わりに、声楽アンサンブルが163校の校歌を歌って、音源をプレゼントしたことは、各校の児童にとても喜ばれました。その後、様々な工夫をしながら徐々に公演を再開、今では100%の入場率でお客様をお迎えし、ほぼ通常通りの公演を行っています。
 大中小の各ホールは24分間で全ての空気が入れ替わる素晴らしい換気性能を有しています。密とは無縁の広大な琵琶湖のほとりで、今回の受賞を糧に、音楽の灯を守り続けていきたいと思います。うちのホールから比叡山がよく見えますが、延暦寺では不滅の法灯が1200年の間、灯り続けています。びわ湖ホールも芸術の灯は消しません。音楽賞、本当にありがとうございました。

●現代音楽部門
藤倉大(作曲家)

藤倉大様

写真  この度は、第33回ミュージック・ペンクラブ音楽賞をいただき、大変嬉しく思います。
 特別に今回嬉しいなと思うのは、2020年、人間が経験したことのないコロナ禍の中で世界初演上演されたオペラ《アルマゲドンの夢》。
 あの時期にこんな大規模の新作オペラを、フルステージで世界初演するなどということは、世界中探してもこれだけだったでしょう。
 あと、8月5日、6日にあった広島原爆投下75周年「平和の夕べ」コンサートで世界初演された《Akiko's Piano》。これは決して延期するわけにいきませんでした。これらを、世の中がどんな状態になっても上演、初演してみせる、と実現に持っていった広島交響楽団、新国立劇場は素晴らしいと思います。こんな時にこそ音楽は絶対に必要だ、との証明のように。
 それに加えて、僕個人としては、イギリスの長いロックダウン中に書くことができた、リモート演奏のための作品《Longing from afar》。今までこんな作品は書いたことがなく、僕の作曲の世界にとっての新しい「枝」が加わった、と思います。この経験のお陰で、今年放映されたNHKの新しい子供番組「おんがくのおもちゃばこ」も作ることができましたし、コロナ禍のロックダウン生活は、これからの僕の作曲の視点を大きく広げる経験となりました。
 そんな普通ではない時期の僕の音楽活動にこうして焦点を当てていただき、ありがたく思います。

●研究・評論部門
礒山雅『ヨハネ受難曲』(筑摩書房)

国際基督教大学名誉教授、順天堂大学国際教養学部特任教授
伊東辰彦様

写真  この度は、このような栄えある賞を2年続けて受賞することになり、まことに悦びに堪えません。2018年2月に不慮の事故で亡くなられた故人に代わりまして、関係者の方々に心より御礼申し上げます。故礒山雅先生が亡くなられる前後の経緯については、ある程度ご存知の方も多いとは思いますが、それは未だに夢の中のドラマのような気がいたします。
 2018年1月26日午後、国際基督教大学内の会議室で先生の博士論文の口頭試問を行い、先生も我々審査員も全員大変幸せな気持ちで終了後、大学カフェテリアに移動、ワインを傾けてささやかなお祝いをしました。その後、少しホッとした風情もある先生の肩を拝見しながら、その後ろ姿を見送ったのが、私にとっての最期になってしまいました。奇しくも、その翌日1月27日、モーツァルトの誕生日の夜、ご自宅近くで転倒されて緊急入院、そのまま還らぬ人になってしまわれたのでした。
 先生の学位論文審査の主査であった経緯から、今回の受賞対象である筑摩書房刊『ヨハネ受難曲』の内容に深く関わった者として、このような形でご挨拶することになってしまったことは痛恨の極みではありますが、こうして御礼を述べる機会をいただけたことに改めて感謝申し上げると共に、みなさんとご一緒に礒山先生のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

●功労賞
ミューザ川崎シンフォニーホール(フェスタサマーミューザ KAWASAKI2020)

公益財団法人川崎市文化財団
理事長 多田昭彦様

写真  「フェスタサマーミューザKAWASAKI」は2005年開始以来、日本のトップ・オーケストラの競演をはじめとした多彩なプログラムで、地元川崎市のみならず各地から訪れる多くのファンの皆様に愛されてきた音楽祭です。2011、2012年は東日本大震災によりホールが被災する中でも、多くの皆様に支えていただき市内各ホールで開催してまいりました。
 2020年7月は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、国内のみならず、世界の状況を見ても、まだ有観客公演を実施することには強い抵抗があった頃です。その中で「フェスタサマーミューザKAWASAKI」はガイドラインを遵守し、また徹底した感染症対策を講じながら有観客公演とインターネット映像配信のハイブリッドで開催し、17公演を完遂することができました。本音楽祭のご出演者、ご来場者、関係者の皆様のご協力に、心より感謝申し上げます。
 コロナ禍による厳しい状況は依然続いています。安全にお客様をお迎えできる態勢を整え、また配信のような新たな価値創造にも果敢に取り組みながら、音楽文化の持続発展に寄与すべく本音楽祭を開催してまいります。この度は本賞にお選びいただき誠にありがとうございました。





■ポピュラー部門

●最優秀作品部門
宮本貴奈「Wonderful World」

宮本貴奈様

写真  
 この度大変名誉ある賞を頂き、嬉しさと同時に、しばらくは驚き信じられない気持ちでした。
 コロナ渦中、StayHomeで立ち止まったからこそ、創作出来た作品です。海外で暮らし、世界を旅し、故郷に返って、【ワンダフル・ワールド】の情景と楽曲達は生まれました。即興性の高いジャズのプラットフォームに大好きな音楽家達を迎え、ジャンルを超えた一期一会のテイクを収録出来ました。自身初の弾語りでボーカルにもチャレンジ。発表後、お披露目も自由に出来ない中、今作を皆様にお聴き頂き、評価を頂けましたこと、心から感謝申し上げます。
 音楽家の皆様、三田晴夫プロデューサー始め、スタッフ・関係者の皆様のおかげです。チーム全員の受賞を思っております。
 6月にブルーノート東京にて、アルバム参加の皆様をお迎えして、受賞記念ライブが開催されました。この作品と受賞をきっかけに新しい道が拓けています。更なる大きな夢を胸に、これからも益々精進いたします。ありがとうございました。

6月2日の夜にブルーノート東京で行われた、宮本貴奈さんの「ミュージック・ペンクラブ賞受賞記念ライヴ」にて

●著作出版物部門
『近代日本の音楽百年』細川周平

細川周平様

写真  このたび日本ミュージック・ペンクラブ賞ポピュラー部門著作出版物賞を受賞し、大変な名誉を感じています。過去の受賞対象を見ると、愛読書や影響を受けてきた著者が並んでいて、そのなかに拙著が列せられたのかと感慨を覚えます。
 『近代日本の音楽百年』は黒船から終戦までの音楽史を大衆文化の変遷のなかで描いた本です。約百年間の音楽の作り手と聴き手について一方で包括的に、他方で枝葉のことまで調べた結果、浮世離れした分量になりました。これまで個別に掘り起こされてきた題材を「西洋化」「大衆化」のような大枠で整理し、この分野の教科書を目指しました。文字資料、録音資料の復刻や監修に携わってこられた方々、通説の誤りを正し、新しい見方を提供してきた方々の仕事に直接間接に負っています。
「ポピュラー」部門の受賞ですが、「クラシック」と分化するまでの混沌に興味を持ってきました。また既存の「音曲」が西洋由来の「音楽」という概念に包括されていくプロセスにも発見がありました。
 ライフワークに一区切りつけましたが、これからも受賞の名誉に恥じない仕事を続けていきたいと思います。

●功労賞
筒美京平
 
代理(株)日音
久保田英夫様

写真  この度はこのような賞を頂きまして、本当にありがとうございます。
 筒美が旅立った後、トリビュートのコンサートやCD企画、テレビ、ラジオ番組等数多くのメディアで 取り上げていただき、再び 自身の楽曲を耳にする機会を多く頂きました。この場を借りてお礼を申し上げます。
 筒美は自身の音楽出版社の社名を、「スタンダードミュージックパブリッシャーズ」と名付けました。
誰より楽曲をヒットさせることに生きがいを感じた作家ではありますが、同時に長く自身の生み出した楽曲が歌い継がれることも望んでいたのだと思います。
 今回このような栄誉を頂き、生前あまり表舞台に立つことに積極的な作家ではありませんでしたが、きっと少しはにかんで、地上の様子をうれしく眺めているものと思います。
 あらためまして今回は本当にありがとうございました。





■オーディオ部門

●技術開発部門
DS オーディオ Grand Master (光カートリッジ)

青柳哲秋様

写真  この度は歴史あるミュージックペンクラブジャパンの技術開発賞というとても名誉ある賞を頂けましたことを、大変光栄に思っております。
 「このカートリッジはまだもっと良い音を出せるはずだ!」と信じ7年に渡り改良を続けてきた光カートリッジの第三世代モデルが、このGrand Master光カートリッジです。
 幸いなことにこのGrand Masterは、イギリス、アメリカ、香港のオーディオ専門誌から”Grand Masterは人生で聴いてきたカートリッジの中で最高のカートリッジである”という素晴らしいレビューを頂くことが出来ました。
 しかし、まだここはゴールではなくまだまだ出来る事があるはずなので、より良い製品をお客様に届ける為に誠心誠意努力を重ねていこうと思っております。
 最後になりましたが、受賞にあたり全ての関係者の皆様に感謝申し上げます。この度は本当にありがとうございました。

●功労賞
デノン 110 周年記念モデル
AVC-A110 (AV アンプ) 、DCD-A110 (CD/SACD プレーヤー) 、
PMA-A110(プリメインアンプ) 、DL-A110(MC カートリッジ+専用ヘッドシェル)

株式会社ディーアンドエムホールディングス
GPDエンジニアリング デノンサウンドマネージャー
山内慎一様

写真  DENON のA110 シリーズは、弊社の110年の歴史を反映し、デノンファンや関連する皆様への感謝をあらわした製品ですが、同時にこれからの未来、10年後を見据えた意欲的な試みに取りかかり始めたものとなっております。そういった部分がご評価頂けたことは開発陣はじめ我々企業にとって大変光栄なことです。
 音楽コンテンツ制作とそれを再生するハードウェア開発は共に音楽文化の発展に寄与していくことであり弊社がいつも願っていることでもあります。
 ありがとうございました。

マランツ
SACD 30n (CD/SACD/デジタルプレーヤー) 、 MODEL30(プリメインアンプ)
株式会社ディーアンドエムホールディングス

GPDエンジニアリング
インダストリアルデザイナー
鈴木丈二様

写真  この度は、栄えある第33回ミュージック・ペンクラブ音楽賞オーディオ部門功労賞を頂き誠に有難うございます。
 両モデルは、2023年に迎えますマランツブランド創立70周年に向けて開発しました全く新しい意匠を纏った新シリーズです。ブランドのスローガンも従来の“because music matters”から、”Modern Musical Luxury“に一新し、マランツ伝統のテクノロジー、デザインを継承しつつ、現代に求められる機能性や性能をもたせた製品です。
 マランツの新しい提案を是非ご体験ください。



オーディオ部門の2020年度の功労賞を受賞した二社(デノン、マランツ)をさる5月26日、当会理事の大橋伸太郎が訪ね、受賞楯と表彰状をお渡しした。