休憩を挟む二部構成でのライヴは、まず寺井お得意のガリアーノの「TANGO POUR CLAUDE」でスタートした。寺井の最新のアルバムで披露されているナンバーだ。元からジプシー系の曲を得意としている彼女らしい、情熱に溢れた演奏であった。次いで寺井オリジナルの「風のストーリー」。そして早くも西藤がステージに加わる。ジャズ・スタンダードとなった感のあるナンバー、「アルフィー」をプレイ。ここで西藤が自身の「アイランド・ジャズ」に付いて丁寧に説明。これは、西藤が本拠地の一つとしているハワイのエッセンスを加えたジャズということで、ギターのみならず6弦のウクレレ、「ギタレレ」を演奏することにも由来している。そして、そのギタレレを駆使しての西藤オリジナル曲「TASOGARE」をプレイ。その非凡な才能を聴かせた。
そして、今度は西藤に替って飯田がステージに呼ばれ、いきなりの大スタンダード、「ムーン・リヴァー」だ。アメリカでも絶賛されたという、実に豊かな声量と、良く響く低音域が彼女の最大の魅力。彼女も、自身のことを丁寧に説明。お客さんに自分のことをもっと知って貰おうという姿勢が好ましい。やはりスタンダード曲の「アワ・ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ」を披露し、喝采を浴びた。この第一部のラストは、グループのピアニストである佐山雅弘オリジナルの「ノーヴェンバー」で締めた。この日本有数のジャズ・ピアニスト、去年は大病を患ったが、今は元気そのもの。茶目っ気タップリの演奏は、流石は関西出身と思わせた。
ミュージカル・ナンバーは、映画「トップ・ハット」からの「PUTTIN' ON THE RITZ」「ISN'T THIS A LOVELY DAY?」「TOP HAT, WHITE TIE AND TAILS」「PICCOLINO」「CHEEK TO CHEEK」「LET'S FACE THE MUSIC AND DANCE」以外に、舞台版では、他のバーリン・メロディが贅沢に追加されている。
フィナーレでは役者たちが客席に降りて、歌い、踊り、フラッシュを焚かなければ「写真撮影OK」の大サービス! 観客もすっかり満足して、劇場を後にした。
10月7日、久しぶりの「ラ・マンチャの男」を観に帝劇に向かう。菊田一夫氏の肝入りで始まった、東宝制作のこのブロードウェイ・ミュージカルは、脚本・デール・ワッサーマン、音楽・ミッチー・リー、作詞・ジョオ・ダリオンで、1965年にブロードウェイで初演され、ベスト作品賞をはじめ、5部門でトニー賞を受賞。劇中歌の「見果てぬ夢 (The Impossible Dream)」は、世界各国で歌われるスタンダード・ソングとなっている。