2015年10月 

  

Audio Blu-Ray Disc Review

「エアロスミス ロックス・ドニントン 2014」(ワーズレコーズ)
 2014年英ドニントン・ロックフェスのコンサートライブ。冒頭楽屋を闊歩する半裸の女達が映し出されたのに嫌な予感がしたが、終始過剰な演出なしのストレートで外連味のないステージであった。
エアロスミスは長いヒストリーで活動休止は幾度もあったが、正式に解散したことの一度もない最長不倒バンド。ザ・ローリング・ストーンズにしばしば比較されるが、リードヴォーカルの下品なアクション(失礼!)と出で立ちが似ているだけで音楽は全く別物。退廃臭のないカラリと陽性のロックンロールだ。ブルースが生んだロックでなくロックから生まれたロックといえるだろう。
 コンサートに詰めかけたイギリスの聴衆は意外にもオジサン、オバサン達でなく若い世代が中心。若返りが出来ているのはエアロスミス=ロックの一ジャンルの証左。
 音声はリニアPCMとDTS-HDマスターオーディオの二種でいずれもステレオ、16bit/48kHzに止まり音質はそれなり。プロロジック処理のサラウンドで聞くことを薦める。(大橋伸太郎

Audio Blu-Ray Disc Review

「デュラン・デュラン:アンステージド」(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
 デュラン・デュランの2011年ツアー中、L.A.マイアン・シアターでのステージ映像。インターネットで世界に同時配信された。
 本作は映画監督デヴィッド・リンチとのコラボレーションで生まれた。
 しかしリンチは舞台演出に関与したわけでなく映像をモノクロ化し、演奏された各曲に別取りした映像の断片やCGやアニメーションをオーバーラップし、リンチらしいイメージのふくらみを演出した。映像にストーリー性を持たせていないので曲のイメージを限定しないのは好ましく、その辺りの節度感は音楽通のリンチらしい。
 映像作家リンチの作品系列上「ザ・ベスト・オブ・デイヴィッド・リンチ・ドット・コム」の収録作品に近い。アナログっぽい作り物臭い味がデジタルシューティング+インターネット配信由来の冷たさを和らげている。
 「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」等80年代のヒット曲も演奏。
 音声はDTS48に止まりハイレゾではないがロジャー・テイラーのタムタムの切れ味とか鮮鋭感豊かに収録。元来インターネット配信用映像なのでメンバーのクローズアップが多く、総合的にホームシアター大画面向きとはいえない。(大橋伸太郎