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東京シティ・フィル第309回定期演奏会 ハイドン:オラトリオ「天地創造」
高関健指揮 ソプラノ:安井陽子、テノール:中嶋克彦、バス:妻屋秀和、
合唱:東京シティ・フィル・コーア(9月8日 東京オペラシティコンサートホール)
冒頭、大オーケストラと大合唱に驚いた。ハイドンを初めとする古典派以前の作品では、近年大オーケストラではあまり演奏しない。とはいえ、ヴィブラートを抑えた非常に素朴でストレートな音はむしろ新鮮だった。多人数の合唱はしっかり練習を積んだ成果が表れていたように思う。オケと対等に、かつうまく溶け合い説得力があった。また、オケの自然描写、さまざまな動物の描写は分かりやすく面白かった。よく表現できていたと思う。独唱の3人については、それぞれはよく声も出ていてよかったのだが、やはりオケにとってはゲストであることを感じさせた。要するに、オケとのアンサンブルという点では物足りなかった。また、チェンバロは大オーケストラの中に埋没している印象があった。音楽史的に考えれば、ピアノでもいいはずだし、現代の大オーケストラを使うのなら、なくてもいいのではと思った。最後に、字幕はやはりあった方が聴衆には親切だっただろう。(石多正男) |