2017年7月 

  

Audio Blu-ray Disc Review

「MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間」(ソニー・ピクチャーズBRL-81083)
 1975年大阪での姉妹作ライブ(通称「アガパン」)を最後にマイルス・デイヴィスは活動休止するがその時期のマイルスと、紛失したテープを追って彼と行動を共にするユアン・マクレガー扮するローリングストーン誌のライターの交流を描く。
 アイデンティティの黒い肌の再現が映画のルックの基本。ドン・チーゲル演じるマイルスのクローズアップシーンが多く、アルバムジャケットで親しんだ汗ばんだ皮膚の光沢や質感を滲み出るような解像感で表現。アルバム「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」「E.S.P.」のジャケットのモデル、フランセス夫人を演じるエマヤツィ・コーリナルディのしなやかな褐色の肌の描写が美しい。
 主演ドン・チーゲルはトランペットの猛練習を経て本当に吹いているが、演奏シーンは少なく音楽映画ではなくサスペンス風味をまぶした二十世紀音楽イコンの語られない時期の謎をフィクション化した人間ドラマ。音声はDTS-HD MA5.1CH。セリフ中心に歪みなく良好だがせめてハイレゾ96Kでマスタリングしてほしかった。(大橋伸太郎)

Audio Blu-ray Disc Review

「ブルーに生まれついて」(ポニー・キャニオンPCXP-50496)
 ウェストコーストジャズきっての人気トランぺッター兼ヴォーカリストで、甘い歌声で歌う「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」やジム・ホール「アランフェス協奏曲」の名客演で親しまれたチェット・ベイカーの伝記映画。
 往時の人気を反映し晩年にドキュメンタリー映画「Let's Get Lost」(1988)が製作され没後公開されたが、本作はイーサン・ホーク主演の劇映画。決して追いつけないライバルのマイルス、師匠格のディジー・ガレスピーは俳優が演じているが、ラストの追悼コンサートシーンにハービー・ハンコックとウェイン・ショーターが特別出演。米国映画の流儀で舞台になった時代(1960年代)の映画の画質を彷彿させるフィルムライクなルックだがデジタル撮影。一部モノクロ。題名通り落ち着いたシックなトーンで映像統一。
 音声は ドルビー・トゥルーHDアドバンスドアップサンプリングの96K。ネイティブ96Kに比べ格下に思われがちだが効果の程が最初の音で分かる。ベイカーの繊細で優美なミュートトランペットが柔らかく再現され心地よい。
(大橋伸太郎)