☆「屋根の上のヴァイオリン弾き」「シー・ラヴス・ミー」等の作曲家ジェリー・ボックと作詞家シェルドン・ハーニックのもう一つのヒット・ミュージカル「アップル・ツリー」THE APPLE TREE(ブロードウェイ初演は1966年) が、2016年5月28日から6月7日まで、東京の赤坂RED/THEATERで上演された。
2003年に俳優としてデビューし、映画や「ロミオ&ジュリエット」「ファントム」「エリザベート」(トート役で2010年の芸術祭新人賞受賞) 等の舞台に出演した城田優が、ここで演出家としてデビューした。彼は「アップル・ツリー」が終わったら、6月28日から帝劇の「エリザベート」に再びトート役で出演する。
制作は渡辺ミキ、訳詞・日本語脚本は青井陽治。
物語は3部構成で、第1部はマーク・トウェイン原作による<愛>
「アダムとイヴの日記」。エデンの園で目覚めた二人は、戸惑いながらも互いの存在を認め、平穏に暮らし始める。しかし、イヴは蛇に誘惑され、禁断の果実(リンゴ)を口にしたことから、エデンの園を追い出される。
第2部はフランク・R・ストックトン原作による<欲>
昔ある王国の裁判は囚人自身が二つの扉の一つを開いて自分で決めるムひとつの扉の向こうには虎、もう一つには、女が待っているという、極めて原始的で残酷なものであった。さて、バーバラ王女の恋するサージャ大佐は、身分違いの恋の罪故に、今まさに裁判にかけられている。二つの扉のどちらを開けるか。腹ペコの虎がいる扉か、美しい女が待つ扉か・・・悩める王女は王女の権限でどちらに虎がいるか調べる。しかし、どちらの扉を開けても、愛する男は自分の者にはならないと気づいてしまう。愛と嫉妬と欲のはざ間で苦しむ王女、息を呑む観客・・・・・。
第3部はジュールス・ファイファー原作による<夢>
「パッショネラ」。煙突掃除をして働く少女エラは、映画スターになる夢がある。満月の夜、テレビの中から出てきたゴッドマザーに魔法をかけられ、映画スターのパッショネラに変身する。スターにはなったが、何か虚しい。そんな時、人気スターのフリップと出会い、愛が生まれる。しかし、魔法はいつかは消える・・・気が付くとエラは平凡な娘であり、フィリップも又平凡な男であり、二人の愛は身近にあると再確認。
出演者は岸祐二 (アダム、アリク王、他)、上野哲也 (サンジャー、フリップ、他)、 杉浦奎介 (蛇、吟遊詩人、他)、豊原江理佳 (バーバラ、他)、和田清香 (イヴ、ナジーラ)、関谷春子 (イヴ、ナジーラ)。イヴ、ナジーラ役は和田清香と関谷春子のダブル・キャスト。
「禁断の木の実」「映画スターになれたら」「どちらの扉か?」等のミュージカル・ナンバーが楽しい。ピアノ演奏は川崎龍、チェロは冨田千晴/村岡苑子。
<写真提供: ワタナベエンターテインメント>
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筆者が初めて「アップル・ツリー」を観たのは、1979年8月8日、池袋の文芸坐ル・ピリエ。野沢那智演出の劇団薔薇座で、出演は鈴置洋孝、戸田恵子、福沢良、四葉寿和子、青井陽治、他。
2回目は1982年4月14日、渋谷PARCO 西武劇場。演出は篠崎光正、
出演は伊藤蘭、寺泉哲章、市村俊幸、室町あかね、竹田生子、他。
3回目は1982年9月25日、六本木の俳優座劇場。演出は野沢那智、
出演は中村秀利、戸田恵子、竹内のぶし、玄田哲章、笹木綾子、他。
4回目は1987年4月10日、ニューヨークのヨーク・シアターで、演出は Robert Nigro、出演はRutus Bonds, Jr., Lyle Garrett, Kimberly, Ron La Rosa, Kathy Morath, 他。
5回目は1993年10月26日、日本青年館大ホール。演出は岡田敬二、
出演は宝塚花組: 真矢みき、月影瞳、紫吹淳、瀬奈じゅん、初風緑、他。
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