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「ムーンリヴァー/ 飯田さつき」(t-tocrecords / XQDN-1052)
飯田さつきの3年ぶりの新作は、デビュー作「I Thought about You」同様、宮本貴奈(p)がプロデュースとアレンジを担当。飯田の厚みを増した表現力と余裕を感じさせる歌唱が、本作品に一層の深みを与えている。宮本貴奈(p,keyb,)、マルコ・パナシア(b)、アルヴィン・アトキンソン(ds)のトリオの繊細なバックアップが安定感をかもし出している。クリスチャン・タンバー(vib)が2曲にゲスト参加、「マイ・フーリッシュ・ハート」でのアラン・ハリスとのデュエットが新鮮だ。タイトル・チューンのほかに「ラヴ・レターズ」「スイングがなけりゃ意味がない」「わが恋はここに」「ニューヨークの秋」などおなじみのナンバー11曲を収録。スタンダード曲は多くの先人たちが数々の名唱を残してきただけに、あえて真正面から取り組む姿勢は、ジャズ歌手としての並々ならぬ決意の現れ。実力派シンガーの道を着実に歩んでいる。(三塚 博)
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