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「ブルックナー:交響曲第6番 イ長調 WAB106「ノーヴァク版」/ パーヴォ・ヤルヴィ指揮、フランクフルト放送交響楽団」(ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・クラシカル/SICC-10215)
今年の9月からN響の常任指揮者に就任する人気者のパーヴォ・ヤルヴィが、フランクフルト放送交響楽団と組んで2008年5月に、第7番からリリースが始まったブルックナー交響曲全集のVol.5(第6番)が発売される。前回のVol.4(第4番)からは何と1年半振りだ。まあブルックナーほどの大曲となれば、その指揮者、オーケストラにとっては媒体そのものが後世に半永久的に残る訳で、録音には事前の準備に可成りの時間が必要であることは間違いなかろう。さて今回の第6番はブルックナーのシンフォニーの中で最もブルックナー的でない明るく煌びやかなイ長調で書かれており、メロディックな部分も多くあるためファンも多い。そして初稿完成後に書き換えが殆ど無いことでも知られている貴重な存在でもある。しかしこの曲は何故か演奏される機会が少ない。パーヴォもこの不公平な扱いにCDのライナーノーツの冒頭でクレームをつけている。パーヴォ自体この曲に対しては可成りの乗り気を示している事が良く分かる。彼の演奏を聴くと先ず明るく覇気がある。そして完全にこの曲を楽しんでいることが解る。残りの5曲(第0,1,2,3,8番)も既に収録済みであり、日本でのリリースが待たれる。(廣兼 正明)
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