2014年8月 

  

Audio Blu-Ray Disc Review

「ソウルガールズ」(ポニーキャニオンPCXP50232)
 オーストラリアのアボリジニ居住地に暮らす三人姉妹。歌うことが好きで従妹を誘いカントリー音楽のユニットを結成してのど自慢コンテストに出場したものの、白豪主義の人種偏見が彼女達に立ちふさがり落選してしまう。それに憤激したR&B狂いのミュージシャン崩れの男が音楽コーチとマネジャーを買って出てオーティスやサム&デイブの素晴らしさを叩き込む。時あたかもヴェトナム戦争最盛期。慰問先で受ければ次は米アポロシアターでデビュー!?という美味い話が舞い込み、ガールズグループ「サファイアズ」と命名しサイゴンへ向かったが…。
 実在したアボリジニ初のR&Bガールズグループの物語。彼女たちの子供らが製作したのだそう。いい話だが何分サファイアズ自身のヒット曲がないつまりサクセスストーリーになっていないのが致命的なドリガー田舎版である。
サファイアズ自身のヒット曲でないから今一つ盛り上がらないが、1960年代のR&B名曲が多く使われている。ステージシーンの歌も巧く歪みなく高音質で収録されている。音声はDTS-HDマスターオーディオ5.1(英語)とステレオ(日本語)の二種。(大橋伸太郎)

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「恋するリベラーチェ」(TCエンタテインメントTCBD−0324)
 原題は「枝付き燭台ピアノの向こう側」。愛人だった男が暴露した、戦後アメリカで絶大な人気を誇ったエンターテイメントピアニストの素顔である。犬の訓練士の青年は目薬を手配したのをきっかけに大スターに気に入られ、寵愛を得て豪邸で生活を共にするようになる。二人はゲイだったのである。
 青年はナルシストのリベラーチェに似せた整形を強いられても従順に実行するが、蜜月は長く続かない。スーパースターは貪欲な猟色家だったのである。
 男と女に置き換えればありふれた物語。しかしここは男と男である。ナルシズムが絡み付いている。ここに登場するリベラーチェは異常に自己愛が強い。そのはけ口を猟色に求めるのだが、どの青年も所詮水面に映る自分ではない。
 人間の奇怪さと残酷をグロテスクかつ滑稽に描くことが映画のテーマ。マイケル・ダグラスの怪演技とハリウッドの高度なメーキャップのなせる技で悲喜劇の一部始終を目撃している迫力がある。
 1970年代のカリフォルニアが舞台の映像は明るく温かみのある色調のマイルドな色彩が特徴だが、ステージシーンはスパンコールの輝きをブリリアントかつシャープに撮影した高画質。4Kディスプレイで是非。(大橋伸太郎)