2018年2月 

  

「飯田さつき」メジャーデヴュー。・・・・・池野 徹
 2014年ミュージックペンクラブ音楽賞で「ブライテストホープ賞」授賞。ジャズ歌手飯田さつきが、12/27キングレコードよりメジャーリリース。1/14銀座Swingで記念ライヴがあった。

 まさに歌手としては恵まれた環境で順調に歩んで来たアーティストだ。メジャーデビュー盤「Old Fashioned」にジャズ、ゴスペル、ボサノヴァ、ミュージカル、スタンダードと幅広く歌う彼女のその歌唱力と声質は日本人のレヴェルを超えている。

 ジャズ歌手の歴史は日本にはある。戦後日本に入って来た外国からの音楽としてジャズは定着していった。英語のヒット曲を歌う日本人は、日本語でパフォームしていた。本格的なジャズはモダンジャズとしてマイルスを始め著名なパフォーマーは歴史に名を残している。その後ジャズはブルースと結びつきロックのリズムでロックへ発展。ポピュラー歌手も多く輩出した。

 音楽というものは人々を豊かにしてくれるソフトの代表の産物だ。人間の人生のあらゆる場面で五感に染み入る不思議な魔力を持っているものだ。しかしその世界に入る人はそれぞれパフォーマーもオーディアンスも自由な選択をする。広い音楽のジャンルから自分の嗜好姓にあった音を選択していく。

 飯田さつきは順調にジャズの道を選択して来た。しかしこの最新のリリース盤を聞いているとこの飯田さつきにはこれで良いのかと思えてくるのだ。またライヴのときの彼女のトーキングとパフォーマンスは人を魅了するものがある。

 彼女の「Amazing Grace」をアカペラで初めて聞いた時に感じた彼女自身のもっているポテンシャルは、もっとあると思えるのである。そう、かくいう自分はロックのジャンルに取り憑かれた人間だが、彼女には日本人プラスアメリカンアフリカン的なテイストが明らかに垣間見えるのだ。現在の彼女を取り巻く環境はメジャーデヴューをはたし、なじみのライヴファンに囲まれているが、必ずもう一つの道を探す場面に遭遇するだろう。全く新しいジャンルの音楽か、それは未来的なミュージカルか、それとも国境を越えたパフォーマーアーティストになるか。もっと世界に発信できるという野心は持って良いのではなかろうか、そう思うのである。もっと人の感性の襞に入り込める歌を。人の感情を表現できる歌唱力を期待してしまうのだ。最後に世界語としての英語の発音による正確性と伝達力をもっと目指して欲しい。

「WEST SIDE STORY」最新版・・・・・本田悦久 (川上博)
☆1月16日に宝塚宙組の「WEST SIDE STORY」を東京国際フォーラムで観劇した。宝塚が「WEST SIDE STORY」を上演するのは、これが4回目だ。

 舞台は1950年代のニューヨーク、ウエスト・サイド。若者たちはジェッツとシャークスに別れて争いを繰り返している。

 リフ (桜木みなと) をリーダーに、この地域を支配しているジェッツは、ヨーロッパ系移民の白人の青年たちで、リーダーはリフ (桜木みなと)。一方、シャークスはベルナルド (芹香斗亜) を中心とするプエルト・リコから移民の子たち。この二つのグループは、縄張り争いが続く中、リフは一刻も早く決着をつけるため、親友トニー (真風涼帆) に助けを求める。トニーはかつてリフと共にジェッツを創った仲だが、今はドク (英真なおき) が経営するドラッグ・ストアで働いている。ベルナルドに決闘を申し込むため、今夜、体育館で開催されるダンス・パーティーに来て欲しいというリフの頼みに、トニーは断わりきれず承諾した。ベルナルドの妹マリア (星風まどか) は、プエルト・リコから兄に呼ばれて、ニューヨークに来たばかりだ。ベルナルドの恋人アニータ (和希そら) と共にブライダル・ショップで働く彼女は、今の仕事にうんざりしていたので、今夜はダンス・パーティーだと嬉しくてたまらない・・・。

 ブロードウェイ初演時、又後の映画化で更に世界中を魅了した作品だけに、スタッフ・キャスト共に熱がこもっていて、大変見ごたえのある作品だった。演出・振付: ジョシュア・ベルガッセ、演出補・訳詞: 稲葉太地。

 「トゥナイト」「マリア」「クール」「ア・メ・リ・カ」「サムホエア」「アイ・フィール・プリティ」「アイ・ハブ・ア・ラブ」等、レナード・バーンスタイン作曲のミュージカル・ナンバーが楽しい!

 出演者の皆さんの熱演ぶりが素晴らしく、いい気分で劇場を後にした。

舞台写真『(c)宝塚歌劇団』

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(余談) 筆者が初めて「WEST SIDE STORY」を観たのは、1968年7月29日、ニューヨーク・リンカーン・センターのステイト・シアターだった。(ブロードウェイでは1957年に初演、734回ロングラン)

 宝塚は過去に1968年、1998年、1999年の3回「WEST SIDE STORY」を上演しているが、筆者は1998年 (5月29日) と1999年 (6月8日) の2回観ている。'98年版は、月組で真琴つばさ、風花舞、紫吹淳等が出ていた。'99年版は星組で、稔幸、星奈優里、彩輝直等だった。

 ブロードウェイ初演は1957年だが、4年後の1961年に米国で映画化された。監督ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス。出演ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ラス・タンブリン、リタ・モレノ、ジョージ・チャキリス、ほか。

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