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「イマジン〜J.S.バッハ:チェンバロ作品集、組曲ハ短調 BWV997、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 イ短調 BWV1003(ソナタ ニ短調 BWV964 W.F.バッハによる編曲)、伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004 より(シャコンヌ ブラームスによる編曲)、 無伴奏フルートのためのパルティータ BWV1013(ステファヌ・デルプラスによる編曲)、イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV1005 (ソナタ ト長調 BWV968 W.F.バッハによる編曲) アダージョ、」/ ジャン・ロンドー(チェンバロ)」(ワーナーミュージック・ジャパン、エラート/WPCS -13341)
ワーナーミュージック「ライジングスターズ」シリーズの1枚。このCDのケースに添付されているライナーノーツの表紙のジャン・ロンドーの写真を見て驚いたのは、どう考えてもあの大バッハとの接点が見つからないことだった。先ずどう見てもサイケデリックなイメージであり、彼がチェンバロでバロック音楽、それもJ.S.バッハを奏でるなど、とても連想(イマジン)することなど不可能だった。しかし今の若いクラシック音楽ファンから見たら異質には見えないかも知れない。それどころか色々な資料を読むと今やフランスを代表する若手チェンバロ奏者でありコンクールの受賞歴も数多い。何はともあれロンドーのデビュー盤であるこのCDを聴いてみた。先ず良かったのはブラームスが右手を痛めたクララの為にアレンジした有名なシャコンヌである。実に几帳面な音楽であり、ヴァイオリンの原曲と比較してもより楽しめる曲に変身しておりロンドーも素晴らしい演奏を聴かせてくれた。そしてこのアルバムで唯一のアレンジものでないイタリア協奏曲は全体的に見ても流石に見事な出来と言える。今回はこの1枚をきいただけだが、若いロンドーの今後には大きな期待を寄せたいと思う。
(廣兼 正明) |