2014年6月 

第26回ミュージック・ペンクラブ・ジャパン音楽賞授賞式
さる4月9日、文京シビックセンター・スカイホールで当会の一般社団法人化記念式典を兼ねた第26回ミュージック・ペンクラブ・ジャパン音楽賞授賞式が開催された。受賞者、関係者、当会会員含む約百名が参加し午後三時から夜七時過ぎまで盛大な祝賀のセレモニーが催された。それでは受賞者の喜びの言葉を紹介しよう。

開会の言葉「今、音楽を求めることの意味」

当会会長・貝山 知弘


「会長の貝山です。皆さんお忙しい中有難うございました。最近音楽についての面白い本を読みました。『音楽の科学』というサイエンティストの書いた本で音楽の 才能を人間はどこまで有することが出来るのかを解析した本です。この本で私自身音楽についての考え方を変える経験をしました。何が面白かったかというと、 音楽というものが人間の中で一番不思議なもので、音楽の才能は個人差があって誰でもあるわけではないが、音楽を聴いて理解する才能は皆が持っているという 一見当たり前の事実を分析し、人間の脳の活動の非常に奥深い未知の部分に光を当てていることです。

我 々批評を書く時も筆が滑って過激なことを書いてしまいます。例えばベートーヴェンのピアノコンチェルトの第三番はこういう意味合いであるという断定的な書 き方をしがちですが、それは間違いなのではないかと思うようになりました。この著作に対して世界各国から反論もあるし支持もあるのですが、反論をした方は 皆自分が窮することになる。それを大変面白く感じました。

もう一つ最近興味深かったのは、本の売り出しの新しい試みです。書店が売りたい本を全国から情報収集してキャンペーンすることをやっています。(本屋大賞)一位になった本は小規模書店でも何百冊も売れる。今嘆かわしいと思うのは、ネットで注文すれば欲しいCDは簡単に見つかりますが、レコード店に行って自分で探し聴いてみる「出会う楽しみ」が奪われた気がします。書店という業界がそれに気付いたように私たち音楽産業に生きる人間もそれをやらないと将来が厳しいとふと思いました。

これから音楽を演奏する方、それを作って制作される方、批評する私たちもリスナーへの積極的なコミットへ知恵を結集していくべきと思います。ここまでの私の話、授賞式の前座として耳を傾けていただければと思います。」

開会の挨拶「貴会の一般社団法人化を祝して」

日本レコード協会会長・斉藤 正明 様


「斉藤でございます。レコード会社の洋楽時代にお世話になった先生方も多く緊張しております。日本レコード協会会長として一言お祝いの言葉を述べさせていただ きます。かくも盛大な音楽賞の授賞式、私今日初めて伺って驚いております。受賞者の皆様おめでとうございます。私ビクターの社長を務めているもので、賞を 頂く立場でもあり、有難うございます。

一 般社団法人化が実現したことにつきまして、事務局の皆様のご苦労は大変なものだったこととお察し致します。日本レコード協会も二年前に一般社団法人化致し ました。そこに漕ぎ着けるまでの手続きが多くご苦労が偲ばれます。日本レコード協会は戦前からある団体ですが、ミュージック・ペンクラブ・ジャパンは1966年発足と伺っております。間もなく五十周年を迎えるわけですね。時期を合わせるように一般社団法人かを成し遂げたことにお祝いを申し上げます。

さきほど会長がお話されておられたように、今レコード業界は二つの切実なテーマに直面しています。一つはデジタル時代の違法配信の横行です。これの撲滅に向けて毎年十人以上の委員を組織化し、費用と労力を投じております。
もう一つは需要改革です。かつて日本レコード協会は親睦団体的な色彩が強かった。しかし今はレコード会社の代表者が集まりどうしたら需要を喚起できるのか真剣に議論する場に変わりました。1998年日本の音楽業界は総額が七千億円弱という大変大きなマーケットでしたが、2013年は半分の規模まで縮小してしまいました。縮小を食い止めわずかでも右肩上がりに転換していくことを目指して団結して努力しています。

そうした状況の中、ミュージック・ペンクラブ・ジャパンの会員の方々の確かな音楽を見る眼、紹介、評論、作品への共感思いやりがいかに重要であるか配信全盛 時代に思いを強くいたします。日本レコード協会はこれを機会にミュージック・ペンクラブ・ジャパンの皆様と手を携えて歩んでいきたいと思います。改めて一 般社団法人化おめでとうございます。受賞者の皆様のご活躍を祈念いたします。」

開会の言葉「当会法人化の趣旨」

当会副会長・石田 一志


「今斉藤会長からご紹介がありましたように、私たちミュージック・ペンクラブ・ジャパンは半世紀に喃喃とする歴史がございます。当初は具体的には音楽評論執筆 者の原稿料が安いことが発足の出発点で、出版社に対して待遇改善を求めることが主でした。まして一人一人が独立して生計を立てている自営業者ですので健康 保険の問題など、皆が一緒に助け合っていく互助精神の組織として始まりました。その過程で最低原稿料額の設定や、文芸美術国民健康保険への加盟とか内部の 相互の助け合いという点で一定の成果を挙げることが出来ました。

その後楽業界全体が低迷期に入り、これ以上原稿料の改善は続けられなくなりました。その一方クラシック、ポピュラー、オーディオが一体となったユニークな組 織体として当会が日本の音楽文化の他国にないあり方を何らかの形で反映することが出来ないかという着想で始まったのが、今回26回を迎えたミュージック・ペンクラブ音楽賞でございます。

同時に常々考えてきたのは音楽文化に貢献コミットという点で互助会・親睦団体でなく、法人という形態に発展させたいことでした。非営利の法人という点ではNPOという制度が出来た時点で法人化の抱負があったのですが、私たちはプロの集団ということで会員を審査して選んで迎え入れております。NPOの場合は会員を審査しませんので立ち位置を異にします。そのため、時間を要しましたが、今日一般社団法人としてスタートを切ることが出来ました。2014年3月14日という区切りのいい覚えやすい日付での発足です。

合わせて当会は新事業を検討中です。その一つが国際的情報発信、日本全体の音楽文化を営利抜きに優れたものを世界に紹介していきたいと考えております。

もう一つが、震災で教材・資料が失われた学校に楽譜、書籍、CDを提供していくことです。音楽が再び芽吹くための支援活動をして参ります。さらに計画の緒に就いたばかりでありますが、会員全員が執筆に参加する日本の近代音楽史の書籍を作る計画があります。

私どもがお世話になることもあるでしょう。また、逆に皆様のお役に立てることもあろうかと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。」

●クラシック部門

独奏・独唱部門

「山根弥生子 ベートーヴェンピアノ独奏作品全曲録音」

山根 弥生子 様

堀内 貴晃 様((有)コジマ録音)

「有難うございました。こんなに立派な賞を頂くなんて考えもしなかったです。お伝えいただいてビックリしました。これからも出来る限りいい演奏を続けます。よろしくお願い致します。」山根様

室内楽・合唱部門

「御喜美江と仲間たち」

御喜 美江 様

大田 智美 様

「このたびは大きな賞を受賞することが出来まして本当に、本当に嬉しくて伺った時から今日という日まで喜びがどんどんクレシェンドしていって、日本に帰れると思っていなかったのですが、どうしてもこの場に立ちたいと思い、一昨日ドイツから帰国しました。

アコーディオンはクラシックの中で一番新しい楽器なのでその音楽を世に広めたいと思い、始めたシリーズなのですが、私と「仲間たち」というテーマになっていてそこにご評価が集まったのだと思います。

日本で受賞出来たのは初めてなので、長いこと頑張ってきて生まれたので感慨深いものがあります。88歳の母も今日駆けつけてくれました。こういう賞をいただけると元気が出てこれからも頑張ろうという勇気が出ます。有難うございました。」御喜様

オペラ・オーケストラ部門

「日生劇場 ライマン・プロジェクト」

和田 俊介 様

後藤 二郎 様(ニッセイ文化振興財団)


「日生劇場の和田でございます。本日名誉ある賞を頂戴しまして喜んでおります。前回アルバン・ベルクのオペラ『ルル』で賞を頂きまして以来の授賞です。今後これに恥じない活動をしていきます所存です。どうぞよろしくお願いいたします。本日は有難うございました。」

現代音楽部門

「東京シンフォニエッタ」

板倉 康明 様(東京シンフォニエッタ代表)

中野 浩明 様((株)カメラータ・トウキョウ)


「板倉でございます。東京シンフォニエッタを代表してご挨拶いたします。まずは私どもの活動を評価して下さった審査員の皆様に感謝申し上げます。

私どもは現代音楽に特化した分野で活動しております。現代音楽は現代に生きる人間が共有できる文化と考え、私どもは邦人作品、今回は西村朗先生の作品で頂き ましたがそれを海外に発信することが大きなミッション、それからもう一つは海外の同時代の作品を日本に紹介することの二つのミッションを柱に活動しており ます。これからもご支援頂けるようお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。有難うございました。」

研究・評論部門

「シューマン全ピアノ曲の研究 上・下/西原 稔」

西原 稔 様

堀内 久美雄 様(音楽之友社)

「西原でございます。このような素晴らしい賞を今日授けて頂いたことは研究者として大きな喜びでございます。私は19世紀の社会史の研究を三十年以上続けて参りました。最初に音楽之友社から刊行して頂いたのが「音楽家の社会史」という本でした。以来19世紀の研究を進め二十年以上ロベルト・シューマンにテーマを絞って資料収集し暗中模索の研究を行ってきました。今日このような形で認めていただいたことを感謝いたします。19世紀には未知の領域が残されています。シューマンも含み研究をさらに深めていきたいと思いを新たにしております。今日は有難うございました。」

特別賞

岩崎 淑 様


「突然のお知らせを頂いた時にはびっくりしまして、ウッソー!とつぶやいてしまいました。そういう名誉はなかなか考えられませんでした。アンサンブルの面白さとか難しさを本に書いたり演奏活動を続けてきた甲斐があったと思いました。

お報せを頂いた折、奇しくも高松市の第三回のピアノコンクールの審査の始まる時でしたので、若い演奏家を日本から世界に輩出したいという願いを長年抱いてお りまして、その一助になったかなという思いがいたしました。コンクールは無事に終わりましたが、まだまだ日本人が世界の舞台に立つのは大変なことで、今度 のコンクールでも日本人が入賞出来なかったのです。なぜそうなのかを考えつつ世界の水準は技術的、音楽的に高いことを痛感しました。同時に励ましてくださ る賞があることは日本人音楽家全ての励みになると感謝しております。有難うございました。」

功労賞

「三善 晃」

三善 由紀子 様

「今思いがけないお言葉をいただきました。長い間三善が作曲家として活動して参りましたが、演奏家の方、お聞き下さった上でお書きくださった批評家の方のお力 添えなしに仕事を続けることは出来なかったと思います。故人も今日深く感謝していることと思います。今日の受賞は思いがけないお話で深く感謝いたします。 これ以上私から申し上げるべきことはありませんが、本当に長い年月有難うございました。」

●ポピュラー部門

録音録画作品賞(日本人アーティスト)

「HEAVENLY MUSIC/細野 晴臣」ビクターエンタテインメント(VICL-64031)

細野 晴臣 様

石田 功次郎 様(ビクターエンタテインメント(株))


「ポップスミュージックの世界の人間はあまり来場しておられないようですが、僕は来ました。暇だからというわけでもないのですが。(笑)こういうことに慣れていないというか、ポップミュージックの人は権威ある賞に縁がないのです。

商業的でないところで評価されるのは嬉しいことで今日は嬉々としてやって来ました。こうした受賞がこれからの励みになるということがあるのです。しかも、録 音作品賞というのはとても嬉しいことで、常日頃誰が聴いているのだろう…と思いながらいい音を作ろうと思ってやっていました。聴いてくれる人がいて認めて もらった喜びがあります。どうも有難うございました。」(細野様)

録音録画作品賞(外国人アーティスト)

「ザ・ネクスト・デイ/デヴィッド・ボウイ」

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(SICP-3788)

白木哲也 様((株)ソニー・ミュージックジャパン)

「ソニーミュージックでデヴィッド・ボウイを担当しております白木です。忘れられないのが去年1月、デヴィッドの誕生日に十年ぶりのアルバムを発売するという発表がありました。プロモーションの作戦でなく、我々もファンの皆様も初めて知らされたかつてない突然の出来事でした。

私自身も彼の大ファンで2003年の来日コンサートでも一緒に同行しましたが、今回は誰も情報を持たないニューアルバムの発売ということでかつ発売後もインタビューもなければ公の場にも登場しない徹底したシークレットでした。
逆 に我々も面白かったのは、洋楽アーティストは日本来てくれますか?とブッキングしてそれが仕事になってしまうのですが今回は久々に昔の洋楽っぽく、知恵を 絞りデヴィッドのアイコンを作って楽しくデヴィッド・ボウイ・カフェとか勝手に色々やらせていただきました。創意工夫満載の楽しいキャンペーンが出来たと 思います。それが皆様のイマジネーションを掻き立ててくれたのではないかと思います。

もちろん一番の立役者はデヴィッド本人であり作品が素晴らしかったことですが、面白い機会を与えてくれたと思います。人生の中で印象深いアルバムになったと思います。デヴィッドに表彰盾を送らせて頂きます。有難うございました。」

コンサート・パフォーマンス賞(日本人アーティスト)

「大友 良英&「あまちゃん」スペシャル・ビッグ・バンド」(画像11)

木谷 徹 様(ビクターエンタテインメント㈱)

佐々木 次彦 様((有)ムスタッシュ)※ソーゴー東京の代理出席


「大友さんが出席できず佐々木さんと私が代理で頂くことになりました。私は「あまちゃん」のCD制作とコンサートマネジメントをソーゴーさんと一緒にやっておりますビクターのプロデューサーの木谷と申します。

コンサートに関しては昨年大ブームとなった「あまちゃん」の音楽で構成するライブでした。放送から三ヶ月経ってのライブでしたが、即日完売という盛況でし た。ドラマのファンが集まるライブでありながら、あまちゃんの枠を超えた大友義英という音楽家の創造性と実験性溢れる音楽愛に満ちた素晴らしいライブだっ たと思います。このような形で評価されたことを大友さんも非常に喜んでいると思いますし、プロデューサーという形で参加できたことを誇りに思います。本当 に有難うございました。」(木谷様)

コンサート・パフォーマンス賞(外国人アーティスト)

「アウト・ゼア ツアー・イン・ジャパン/ポール・マッカートニー」

田村 有宏貴 様、丸山 壮太郎 様((株)キョードー東京)


「キョードー東京国際部の田村と申します。本日はこのような名誉ある歴史ある賞を頂き誠に有難うございます。本来ならば弊社代表の山崎芳人がここに立たせていただくのですが、残念ながらスケジュールが合わず私が立たせていただいております。お許しください。

キョー ドー東京は設立五十周年を迎えることが出来ました。節目の年に私どもの歴史でもあるポール・マッカートニーの招聘を実現したいと努力して参りました。今日 ここにおられます皆様方のお力と支えで実現に漕ぎ着け、会場に大変多くの方がご来場下さいました。このような名誉ある賞をその結果として頂き、本当に有難 く思います。本当に有難うございました。」

ブライテスト・ホープ賞

桑原 あい 様


『初めまして。桑原あいです。このような素晴らしい賞を頂いて光栄に思います。関係者の皆様、選んでくださった方、そしていつも支えてくれる方々に感謝をします。緊張しすぎてすいません。(会場笑)

2012年11月 にファーストアルバムの「フロムヒア・トゥ・ゼア」でデビューしてそれから一年半怒涛のような自分でも想像していなかったことばかり起こってしまって、出 来事の後を自分が追いかけていくような感じでした。去年は十歳から夢見ていたトーキョージャズのステージに立たせていただきました。初めてそんな大きな規模で の演奏をしてプロになったってこういうことなんだなあ、頑張るってこういうことなんだなあ、というのをかみ締めました。(涙)

アメリカツアーもやらせて頂いて、海を渡った先で私の音楽を聴いて頂くってこういうことなんだなあってかみ締めながらステージに立たせて頂いていました。出 来ないことも沢山あってアーティストとして未熟ですがやりたいこと、見たい世界も沢山ありますので今後も日々精進していきます。本当に今回は有難うござい ました!」

著作出版物賞

「ロックンロール・フォトグラフィティ長谷部宏の仕事/赤尾 美香・著」シンコー・ミュージック

赤尾 美香 様

草野 夏矢 様((株)シンコー・ミュージック エンタテイメント)


「このたびはこのような素敵な賞を頂きまして本当に有難うございました。初めて(受賞の)知らせを受けた時何のことか分かりませんでした。まさか音楽ライターと編集をやっていてこのような賞を貰える日が来るとは夢にも思っていませんでした。

今私は著者としてこの場に立たせていただいておりますが、本当の役はフォトグラファーの長谷部さんです。本日の会場に長谷部さんがいらっしゃっております。ご存知の方は多いと思いますが長谷部さんは1960年代から1990年代まで洋楽ロック&ポップスシーンで写真を取り続けてきました。

私は『ミュージックライフ』在籍時に専属カメラマンだった長谷部さんと十年間仕事をさせて頂いたのですが、編集部を辞した後も長谷部さんの膨大な写真をまと めてみたいと思っていました。その夢を叶えてくれたのがシンコー・ミュージックであり、担当編集者の春馬さん、デザイナーの高島君、皆で力を合わせて頑 張って実現した一冊だと思います。長谷部さんには長いインタビューの時間を割いて頂きました。長谷部さんも80歳 を超えるお年なので記憶があいまいな部分が多々ありました。そういう時は昔の『ミュージックライフ』をひっくり返して他の音楽誌までひっぱりだして繰り返 し探していると今度は長谷部さんの後ろに当時のレコード会社や雑誌に関わっていた諸先輩の姿が見えたりしてそれが私の励みになって出来た一冊だと思いま す。この賞を頂けたことを本当に嬉しく思っています。皆様有難うございました。」

特別賞

「トニー・ベネット」

白木 哲也 様((株)ソニー・ミュージックジャパン)


「このような大きな賞を頂き有難うございました。トニー・ベネットのライブを去年ご覧になった方もいらっしゃると思います。87歳 にしてステージでステップを踏んで軽やかにターンしたり、ここまでやらなくてもいいのにと、僕が言うのもヘンですけど素晴らしいショーを見せてくれて、終 わった後楽屋に挨拶に行くとさぞかしお疲れと思いきや、ステージ衣装のままシャンとされていて一人ひとりに優しく応えていたのが印象的でした。これからも 多くのアルバムを出してくれると思いますし必ずや再来日してくれるものと信じています。今日は本当に有難うございました。」

功労賞

「岩谷 時子」

島崎 春彦 様(公益財団法人 岩谷時子音楽文化振興財団)


「26回という伝統ある賞を頂き有難うございました。私は故人の親戚の一人でございます。早速明日祐天寺に眠っております岩谷に報告に参ります。

岩谷は宝塚歌劇に勤務の後昭和26年に上京し以来90歳 になるまで幅広い分野での創作活動を続けておりました。それがいよいよペンを措くことになり、今日会場にお見えのシンコー・ミュージックの草野さんに私が 呼ばれて、これからの音楽文化に何らかの形で貢献したいので方法を考えてくれ、という故人の願いから財団を作らせて頂きました。

(ミュージック・ペンクラブ・ジャパンの)26回に比べると今年で5回目ですが、盛んに活躍されておられる方、今まさに音楽界に羽ばたく方、現在学生で音楽や舞踊を勉強中の方に奨学金をお出ししたいという故人の思いにより、限られた財産でありますが、我々がこれから21世紀、22世紀に向け音楽文化に貢献いたしたい思いです。本日ここにお集まりの皆さまに今後についてアドバイスを頂くことがあるかもしれません。今日は有難うございました。」

功労賞

「大瀧詠一」

城田 雅昭 様((株)ザ・ナイアガラ・エンタープライズ)

「本日はこのような賞を頂戴でき誠に有難うございます。本人に成り代わり深く御礼申し上げます。

大瀧は去年11月30日 に他界いたしました。生前故人の音楽のみならず多方面の活動で皆様のご協力とご尽力を賜りました。皆様のお力添えなくして成しえなかったことも多々あると 思います。深く感謝申し上げます。残された私どもスタッフは故人の残した大きな音楽遺産をどのように継承していこうか、どう世に伝えて行こうか思慮してい る所です。この点に関しても皆様方のご協力なくして成しえないものと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。本日は有難うございました。」

特別功労賞

瀬川 昌久 様

「私はただ長年好きなジャズやミュージカルをのんべんだらりん、と聴いてきただけなのです。今日会場にお見えの皆様の中で桑原あいさんが最年少で私が最年長だ と思います。前会長の岩浪洋三さんが非常な功績を残されまして亡くなった後の功労賞受賞になりましたので、瀬川には生きている間に賞をやろうというお気持 ちで頂くことになったのだと思います。心から今日までご一緒に音楽界を支援してきた方々に感謝申し上げたいと思います。

今年の6月 に渋谷のホールでジャズコンサートをプレゼンテーションしてくれと頼れまして今回の受賞に値するものが出来れば、と思っております。『真のジャズはビバッ プ以後に始まった』というジャズ界の根強い偏見を打破するために日本のサッチモたる外山喜雄とデキシーセインツにサッチモジャズの真髄を演奏してもらい、 その影響を受けた日本のジャズソングとタップダンスを楽しんで頂き、ジャズエンターテンメントの極上の魅力を余さずお伝えしたいと思います。皆様お誘い合 わせの上ご来場ください。有難うございました。」

●オーディオ部門

技術開発

「HAP−Z1ES、TA−A1ESの開発」ソニー株式会社

稲山 実 様(ソニー株式会社)

佐藤 正規 様(ソニー株式会社)


「ソニーでデジタル機器の設計をしております稲山です。本日はこのような栄誉ある賞を頂き有難うございます。弊社では昨年よりハイレゾというキーワードの下、 音楽をよりよい音でリスナーに聴いて頂く取り組みをずっと続けて参りました。今回賞を頂くことが出来た大きな理由に、全社を挙げてハイレゾへの取り組みを してきた努力が評価されたのだと嬉しく思います。今後さらにオーディオの技術を磨いてよりよい音で音楽をリスナーに届ける仕事に邁進してまいります。引き 続きご指導ご鞭撻頂けるようお願い申し上げます。」(稲山様)

「私 はソニーでアンプの設計をしております佐藤と申します。このたびはこのような名誉ある賞が受賞でき誠に有難うございます。稲山も申し上げましたように、昨 秋から弊社はハイレゾで音楽をよりよい音で聴いていただく商品群をウォークマンからコンポーネントまで一斉に世に問いました。その中で稲山のHDDプ レーヤーと私のアンプはトップエンドの商品になります。私は、音楽がよりよく聴き手に届くように、音源の情報をより素直にスピーカーにエネルギーとして出 してやるというコンセプトでアンプを設計しました。これからますます音楽産業で制作に関わる立場の方を含めハイレゾの需要が高まってくるものと確信しま す。ソフトとハードの両輪で音楽産業を発展させていければいいと考えております。このたびはどうも有り難うございました。」(佐藤様)

最優秀録音作品

「CANTUS/加藤訓子」Linn Records(SACD、CD、配信CDK432)

加藤 訓子 様

寒河江 勇志 様


「皆様こんにちは。パーカショナリストの加藤訓子と申します。私はクラシックの打楽器奏者でありまして、今日いつ名前が呼ばれるんだろうと思ってずっと待って おりましたがクラシック部門でなくオーディオ部門で呼んでいただいて、私がご挨拶するのは何だが面映い気がしました。私が思っている通りに録りたいという 願いを汲んで一緒にワークしてくれた寒河江勇志というエンジニア/プロデューサーと共に作り上げたCANTUSという作品に頂いたと思います。

オーディオ界というのは、演奏家にとっては想像のつかない世界で元々私は自分の演奏をCDに 残すということさえも余り頓着なくライブパフォーマンスを続けていたのですが、前作のスティーヴ・ライヒの作品「カウンターポイント」を多重録音で一人で 演奏したいと考えまして、それに挑むことになったのですね。それで録音した時のナッシュビルのジョージ・マッセンバーグというエンジニアが「いい音で録っ ておけば後で落とすのは問題ないよ。逆にアップコンバートは駄目だから最初から最高の音質で録ろう。」と提案して192kHz/24bitと いうハイレゾファイル形式で録音しました。18〜20人分のトラックを使って演奏していくのですがそれにマイクの数を合わせると膨大なトラック数になり録 音中はコンピュータとの戦いもあって出来上がった『クニコ・プレイズ・ライヒ』という前作がありまして、いい経験になりました。

自分が出したい音をどうやってエンジニアに捉えてもらうかという点に関して私なりに戦いがありました。それを踏まえた上で今回のCANTUSは 音のイメージを作るところから寒河江さんと一緒にワークして作り上げた作品です。それでも大変なことがありましたが、録音作品としてカタチになって世に出 して皆さんに聴いて頂いて音楽として伝わるというのは、演奏しているステージ以外で音楽が伝わるのも私が演奏家として出来ることとしてこれからも更なる チャレンジを続けます。作品、ライブ共に皆様ぜひ聴いてください。有難うございました。」

最優秀録画作品

「ニール・ヤング ジャーニーズ」(BD-ROM)ソニー・ピクチャーズエンターテインメント(BRS-80254)

正木祥貴 様(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(株))


「ソニー・ピクチャーズの正木と申します。このような名誉ある賞を頂き有難うございます。この作品は去年の7月にリリース致しまして雑誌、ウェブで沢山のライターの方に紹介して頂きました。

その中の殆どが小社初のハイレゾ収録(DTS-HDマスターオーディオ96kHz/24bit)について評価を頂いたのですが、この作品にはもう一つの魅力は、二部構成になっていて一つは2011年 のニール・ヤングのワールドツアーのステージでもう一つはニール・ヤングと彼の実兄が二人の生まれ育った故郷の町をドライブして少年時代の思い出を語る構 成になっています。ステージの上の成熟したニール・ヤングと兄とフランクに会話する人間ニール・ヤングの両方が伝わる構成・演出が高い評価を得たのだと思 います。今後ともこの賞を頂けるようにエンドユーザーに感動をもたらすいい作品を届けるように尽力して参ります。本日は有難うございました。」

注.なお、本作品受賞を祝ってカナダ大使館広報部長ローリー・ピーターソン氏が来場されました。

特別賞

「Grandioso P−1、D−1の開発」 エソテリック株式会社

町田 裕之 様(エソテリック株式会社)


「本日はこのような名誉ある賞を受賞し会場にお越しの皆様、会員の皆様全員に感謝申し上げます。私たちエソテリック株式会社は、録音機器のTASCAMを含むティアックグループの一員で、現在はアメリカのギブソンギターコープという会社の傘下に入りまして、グループで音楽を作る環境を提供する会社群として活動しています。

特別賞を受賞した製品のグランディオーソはSACD/CDプレーヤーですがシステム総額が五百万円で四つのシャーシで構成、総重量が99kgというやや特殊な位置付けの製品ですが、親会社(ギブソン)は音楽に理解があるのですが、導入するまでに様々な困難があり、市場に出すのに大きな決断がありました。しかしお蔭様をもちまして昨年の11月から毎月の生産分が完売し需要が供給を上回っている状況です。

スーパーハイエンドのCDプレーヤーと言うことでトレンドに関係がありませんがひたすらいい音で音楽を聴きたいというニーズに応えきった手ごたえがあります。これからも「いい音」をテーマにあっと驚くような製品を開発して参ります。本日はどうも有り難うございました。」

パーティ祝辞

一般社団協会日本オーディオ協会会長・校條 亮治 様

「もうこんばんはといっていい時間と思います。日本オーディオ協会の校條でございます。受賞された皆様の多様な努力に深く敬意を表します。そして感謝を申し上 げたいと思います。今日晴れの一般社団法人として新しいスタートを切ったミュージック・ペンクラブ・ジャパンの門出に相応しい華やかな祝宴で、ご祝辞を申 し上げます。

私はとっくにミュージック・ペンクラブ・ジャパンは社団法人と思っていました。ここにご参集の会員の皆様の努力の賜物と思います。私ども日本オーディオ協会も63年目を迎えました。(1952年創立)社団法人化も少しだけ早い1992年のことで、国内のオーディオ&AVと音楽産業の最盛期での船出でした。

その時期に比べると現在はいささか元気がありません。私はちょうど6年前に会長に就任しまして何とかこの日本に素晴らしいオーディオと音楽産業のシーンを作り上げたいという一年で頑張って参りました。

か ねがね私が申し上げておりますのは日本人は世界に冠たる感性文化を持つ民族と念じていることです。万葉の時代から風のそよぎ、香り、虫のすだく音色を心に 活き活きと受け止める世界で稀な感性価値を尊ぶ民族なのです。今日は海外のお客様も御来席されておられますが、一般に虫の音はノイズとして受け止められま す。私たち日本人はそうではありません。一種の音楽なのです。

今一度1980年代の活況と産業数値を再来させたいと考えています。先ほどソニー様がおっしゃっていましたが、私達は日本から<ハイレゾリューション>(CDを超える音質のデジタル音声)を発進させるべく総力を挙げて取り組んでおります。

一方でアーティストの方々の作品とその価値を伝える皆様評論家の感性があってこそのオーディオです。アーティストの心根そしてそれを伝える評論家、音楽業界 の感性で素晴らしい作品を作っていただければ、私たちオーディオ業界の人間は必ずや素晴らしい音質でエンドユーザーにお届けいたします。

ようやく花が綻びかけています。これからの一年間をかけて満開にさせたい努力する所存です。今日お招きをいただいて、この一年で素晴らしい音楽作品があると いうことを知りました。私どもオーディオ協会もホームページで逐一世に紹介してまいります。今日素晴らしい賞を受賞なさった皆様方の益々のご健勝とミュー ジック・ペンクラブ・ジャパンの末永い発展を祈念して杯を高々と捧げたいと思います。乾杯!」


中〆の挨拶

当会副会長・鈴木道子


「当会の法人化を提案したのは、私が会長を務めておりました約十年前のことでした。しかし、これから法人制度が変わるという時期と重なり、新制度の研究と準備を進めている内に時が経ち、ようやく今年二月、一般社団法人としての発足に漕ぎ着けました。大変嬉しく思っています。今日は皆様お忙しい中を大勢ご参集くださり、音楽賞と当会の法人化を祝ってくださり感謝申し上げます。本当に有難うございました。」


校條亮治氏の乾杯のご発声でパーティが高らかに開幕、出席者と当会会員が一つになり、スカイホールからの東京の眺めが茜色に染まるまで受賞を湛えあった。桑原あい氏の受賞記念演奏を挟み当会副会長・鈴木道子の中締めで宴はひとたび終了、受賞者はそれぞれ家路に着いた。

ご来臨下さった受賞者、御随伴の関係者の皆様、授賞式開催に手弁当で尽力いただいた会員諸氏に深く感謝申し上げます。

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