2012年4月 

 
Popular ALBUM Review



「ふられた気持/ライチャス・ブラザース」(ユニバーサル ミュージック/UICY-75147)
「ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ/ライチャス・ブラザース」(ユニバーサル ミュージック/UICY-75148)
「バック・トゥ・バック/ライチャス・ブラザース」(ユニバーサル ミュージック/UICY-75149)
 ‘ブルー・アイド・ソウル’という言葉はライチャス・ブラザースの登場によって生み出されたという。このコンビ名もライブで黒人の聴衆たちから投げ掛けられた賛辞から命名されたとか。ライチャス!!(Righteous=真実、正直)なブラザー!!(仲間)→それほどにこのコンビのソウルフルなフィーリングが真に迫っていたということだろう。ホール&オーツなど後のアーティストたちにも大きな影響を与えたライチャスは1960年代前期からキャリアをスタート、Moonglowレコードで地道に活動を始めていたがフィル・スペクターに引っ張られて彼自身のレコード会社Philles(フィレス)に移籍するや「ふられた気持」(1965:No.1)「ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ」(1965:No.9)「アンチェインド・メロディー」(1965:No.4)「引き潮」(1966:No.5)と一気に大浮上!ビートルズに明け暮れる当時のシーンに大きな一石を投じた。そんなライチャスがPhillesからリリースして1965年に相次いでアルバム・チャートにランク・インしたのがこの3枚。昨年秋以降のフィル・スペクター関連再発プロジェクトの流れでユニバーサル・ミュージックから‘フィル・スペクター・プレゼンツ 紙ジャケ/SHM-CD コレクション’として「リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ/アイク&ティナ・ターナー」「ソニー・チャールズ&ザ・チェックメイツ・リミテッド」「ビー・マイ・ベイビー/エリー・グリニッチ」と合わせてリリースされたものだが、これほどの知名度を誇るライチャスにしてアルバム単体としてのCD化は実は今回が世界初♪ ついにこの日本で実現したことの意義は大きい。ファンが長年待ち焦がれていた復刻企画だ♪ なおアルバム制作にはスペクター自身が全面的に関わっているというわけではなく(シングル曲中心)ライチャスのビル・メドレーが手腕を発揮しているところにも着目して欲しい。(上柴 とおる)

Popular ALBUM Review


「デディケイテッド/ウィルソン・フィリップス」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-3485)
 懐かしいグループの登場だ。ウィルソン・フィリップスは1990年にデビューして「ホールド・オン」はじめNo.1ヒットを連発。一世を風靡した。ご存知ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの愛娘2人に、ママス&パパスのジョン&ミッシェル・フィリップスの愛娘の3人組。折しもビーチ・ボーイズ結成50周年に、正当なDNA継承者がBBとママス&パパスに捧げてカヴァー集を出した。気持ちがすっきりする明るいムードと美しいハモリ具合は、以前より完成された感じさえする。幕開けの「夢のカリフォルニア」で出だし好調。「アイ・キャン・ヒア・ミュージック」など佳き60年代を現代に蘇らせ、アカペラの「グッド・ヴァイブレーション」もいい。快い好盤だ。(鈴木 道子)


Popular ALBUM Review

「静かに、息をするように/ジョー・バルビエリ」(ヤマハミュージックアンドビジュアルズ/YMCP-10023)
 ささやくようなクワイエット・シンギングで人気のあるイタリアのジョー・バルビエリ。3年ぶりの新作が出た。ボサノヴァ・タッチ、ジャズ、イタリアン・バラードなどのまじりあった歌声は、密やかで暖かい夜のムードにあふれて、そっとハートを包み込んでくれる。心地よいボサ調の「裸のキス」は枯れた味わいのファブリツィオ・ボッソのトランペットも美しく、「転落の日記」ではウルグアイのグラミー賞歌手ホルヘ・ドレクスレルを加え、夜の男のムードを演出する。今回は東北大地震に心を痛めている彼が、何か日本に捧げたいということで、ボーナス曲として「見上げてごらん夜の星を」を歌っているが、なんとも切ない。(鈴木 道子)


Popular ALBUM Review

初回生産限定盤

通常盤

「レッキング・ボール/ブルース・スプリングスティーン」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/初回生産限定盤:SICP-3460、通常盤:SICP-3461)
 アメリカ大統領選挙年にあたる今年、ブルースがこの新作を出したのは偶然ではないだろう。ここには、これだけは言っておきたい、言わなければならないといった彼の決意表明みたいな切羽詰まった熱い思いが演奏の内外に感じられて、一曲一曲が胸にずきんと突き刺さる。ゴスペル、カントリー、ケルト音楽等、様々な要素が詰めこまれたサウンドも、これぞ究極のアメリカン・ロックとでも呼べる聞き応えあるもので、彼の代表作になるものと言っていい。そしてそのサウンドに乗せて歌われるのは、一向に変わらないアメリカ社会への彼の止むに止まれぬ思いの数々。いま、満を持して出されたであろうこのアルバムが持つ意味は限りなく大きく、そして重い。(滝上 よう子)

Popular ALBUM Review

「ザ・ミュージック・イン・ミー/ジョー・グリーン」(輸入版Joe Green Production/JGP-9518)
 ハワイ・オアフ島ノースシュアにある大人気の老舗サーフ・ショップ『サーフ&シー』のオーナー/ジョー・グリーンが、2年の歳月を費やして発表したファースト・アルバム『ザ・ミュージック・イン・ミー』は、全曲ジョーによる極上のオリジナル・ハワイアン・ポップス集です。ノリの良いハワイアン・カントリー「This Day Is Made For Surfing」、ジョー節が炸裂するオリエンタルな「Asian Persuasion」、ハワイアン・レゲェ「High On Life」、ムーディでスケールの大きな「Mother Ocean」、名曲「Love」、ハワイアン・バラード「Marker」、遊び心満載の大作ブルース・ロック「Little Piece Of My Skin」等全16曲、全く飽きのこない作品に仕上がっています。暖かい日差しの中、心地よい波の音を聴きながら、「 “ほっ” と一息つきたい 」なんて思う時に、心も体もとろけさせてくれる癒しのハワイアン・ポップスです。(上田 和秀)

Popular BOOK Review


「LA・ジャズ・ノワール---失われたジャズ史の真実/中山康樹」(河出書房新社)
 ウエスト・コースト=「陽気で爽やか」「太陽と海」というイメージを持っている方こそ、この本を読んで全身からウロコを落とすべきだ。ジャズ・ヒストリーにおいて、(少なくとも日本の論壇では)なぜか1950年代初頭の一時期以外は等閑視されがちな“西海岸ジャズの歴史”にスポットを当てるばかりか、それも思いっきり黒人ジャズ側の動きを重視して論評した画期的な1冊なのである。序文でいきなり「ジャズ誕生の地は本当にニューオリンズなのか?」と読者に問いかけ、ロサンゼルスとジャズのかかわりについて徹底追求。リー・ヤングやハワード・マギーといった、遺憾ながら日本では語られることの皆無に等しい巨星たちの功績にも触れ、最後にはヒップ・ホップ界で“再発見”された伝説のプロデューサー、デヴィッド・アクセルロッドについて熱のこもった文章が綴られる。この怒涛の展開。いわゆる(日本のジャーナリズムの)「ジャズ正史」に馴染みきってしまった方には初耳の名前も多いのではないかと思うが、そういうひとほど、頭から冷水を浴びる気持ちでこの本を買い、読まれたい。ウエスト・コースト=「ダーク」「ビザール」と、イメージが更新されることだろう。(原田 和典)

Popular CONCERT Review

「ダイアン・シューア」 2月28日 コットン・クラブ [ファースト・ステージ]
 ロシアから中国の都市を廻ってきたというダイアン・シューアは、長旅の疲れも見せずダイナミックなステージを展開した。メンバーは、アンドリュウ・ニュウ(as)マイケル・シムス(g)ロバート・ヴァレイ(b)トニー・ムーア(ds)。「トゥデイ・アイ・スターテッド・ラヴィング・ユー・アゲイン」そして「ホワイ・キャント・ヒー・ビー・ミー」と最新のアルバムから2曲を続け、後者では、驚異のロング・トーンを披露する。奇声に近い超ハイノートもそこここでヒットして好調振りを印象づける。彼女がライヴでは必ずの様に歌うチャック・マンジョーンの「ランド・オブ・メイクビリーブ」では、達者なアンドリュウ・ニュウのアルトがフィチャーされた。「チェロキー」は、ワードレスでテーマを歌い、後は、インスト陣とエラばりに渡り合う。続いて即興的に歌った「ジ・オッド・カプルのテーマ」の後「上を向いて歩こう」のメロディをピアノで弾き、聴衆に歌わせるエンタティナー振りも見せた。一転してベースとデュオで歌ったバラード「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」は、当夜のハイライトだった。ジャコ・パトリアスで有名なピー・ウィー・エリス作のファンク・ナンバー、「ザ・チッキン」では、大変な乗りのよい演奏で会場を多いに沸かせた。全10曲の後、アンコールを彼女の「トーキン・バウト・ユー」のアルバムからのお得意の「ルイジアナ・アフタヌーン」で締めて床に手がつくくらい深ぶかとお辞儀をして「友達の輪」と叫びながらステージを降りていった。「ダイアン・シューアのすべて」、と云ったヴァラエティに富んだ素晴らしい舞台だった。彼女の次作は、サンフランシスコでのライヴ・アルバムだという。(高田 敬三)
写真提供:COTTON CLUB
撮影:米田泰久


Popular CONCERT Review

「ヘレン・メリル」 3月1日 ブルー・ノート・東京 [ファースト・ステージ]
 昨年は、予定されていた公演が震災の爲中止になり、約2年振りのステージだ。伴奏メンバーは、前回と同じテッド・ローゼンタール(p)スティーブ・ラスピナ(b)テリー・クラーク(ds)。今回は、トランペットを連れてくるという話も有ったが、人選が不調に終わったのだろうか。インストの「イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー」の後、場内で「レジェンダリー・ヘレン・メリル」と紹介があっても姿を現さず、一瞬、聴衆を心配させる。何と言っても今年83歳になるという彼女だ。「オール・オブ・ミー」からアンコールの「ユード・ビー・ソー・ナイス・カム・ホーム・トゥ」まで13曲、レパートリーは、前回と殆ど変わらない。「サマータイム」等、声域がせまくなって苦しげな場面もあった。亡き夫のトリー・ジトーを想って歌っていたのか、情感のこもった「ラヴ・ミー・テンダー」や「ラヴァーマン」には、心を打つものが有った。とはいうもののステージは、往年の彼女を知る者にとっては侘しいものだった。独自のスタイルを持つジャズ・シンガーだが「ユウド・ビー・ソー・ナイス」を聞いただけで満員の聴衆が満足をする。この人気は、何なんだろうかとふと考えさせられた。(高田 敬三)
撮影:山路ゆか


Popular CONCERT Review

「ジェシ・ヴァン・ルーラー チェンバートーンズ・トリオ」 3月2日 丸の内コットンクラブ
 ジェシ・ヴァン・ルーラー(ギター)、ヨリス・ルーロス(バス・クラリネット、クラリネット)、クレメンス・ヴァン・デル・フィーン(ベース)からなるチェンバートーンズ・トリオが来日した。まさしくグループ名通りのチェンバー・ミュージック(室内楽)的ジャズ・ユニットだ。乗って楽しむというよりは、じっくり耳を澄ませて聴くタイプの音作りといえばいいだろうか。しかし各人のプレイは大変にメロディアスで曲調もバラエティに富んでいるため、時間があっという間に過ぎてしまう。人気者ジェシのテクニックには今回も驚かされっぱなし。指弾きからピック弾きへの素早さ、内声の巧みな変化、驚異的に反り返った右手親指。アンプ直結の音色も相変らず美しい。ヨリスは殆どの曲でバス・クラリネットを吹いたが、ジャズ系の奏者がこの楽器を吹いたときに出がちな“音の裏返り”がまったくなかった。完璧にコントロールされたバスクラ、ギターのカラフルなコード・ワーク、そして堅実なベース・ライン。爽やかなひとときを味わった。(原田 和典)
写真提供:COTTON CLUB
撮影:米田泰久

Popular CONCERT Review

「アロージャズオーケストラ 第95回定期演奏会」 2月22日 六本木スイートベイジルSTB139
 1958年に大阪で結成された有名ビッグ・バンド、アロージャズオーケストラ(近年、エラ・フィッツジェラルドとの共演盤が発掘リリースされた)が東京でリサイタルを開いた。初代リーダーはピアニストの北野タダオだが、現在のリーダーはトロンボーン奏者の宗清洋。1972年のギル・エヴァンスの来日公演にも参加した名手である。この日は新作『J.J-Standard㈼〜明日へ!スイング〜』の曲を中心に披露。簡単にいえば「昭和の歌謡曲をジャズ化する」というコンセプトだが、宮川泰、中村八大、かまやつひろし等の楽曲のジャズ化がとくに印象に残った。そういえばこの3人、皆、若い頃にジャズの洗礼を受けている。原曲に含まれていたジャズのセンスを、アロージャズが巧みにすくいあげたのだろう。“ジャズにおけるアレンジとは”を音で解説するコーナーも、実にわかりやすく、楽しかった。第2部ではジェロがゲスト出演。持ち歌の他に、「アンフォゲッタブル」と「また君に恋してる」を英語で歌ったが、後者は、まるでブラコン・バラードのように聴こえてきて驚いた。(原田 和典)

Popular CONCERT Review

「トーマス・ドルビー」 2月17日 ブルー・ノート東京
 ソロ・キャリア30年となるトーマス・ドルビーは、「エレクトロ・ポップの魔術師」などと騒がれた。かつて80年代初期の彼は、奇想天外な発想をコンピュータに生かし、視覚的にも奇抜なステージとともに人々を魅了した。彼のライヴには多くのスターや音楽関係者たちが、何かアイディアをパクろうと詰めかけていた。その時代にインタヴューしたことがあるが、めっぽう頭でっかちでクールな青年で面白かった印象がある。それからしばらく後、一時はダウンロード関係の会社を興したりしていたが、10何年ぶりかにソロ復活して、今回彼待望の初来日となった。体格も見違えるほどがっしりして、ロック、ポップ、R&B、ジャズなど幅広い音楽性を取り入れ、力強い音楽になっていた。往年の大ヒット曲「彼女はサイエンス」ヤ「ハイパーアクティヴ」もコンピュータを挿入しながら肉付きのいいサウンドに変身。クラフトワークや、坂本龍一とのコラボ曲「フィールド・ワーク」など、1時間を悠に越えて、独自の音楽で楽しませた。(鈴木 道子)

Popular CONCERT Review

「グレッチェン・パーラト」 2月21日 丸の内COTTON CLUB
 グレッチェンはニューヨークを拠点に活動するジャズ・シンガーで、今回が2度目の来日公演。ジャジーな雰囲気を持った女性シンガーは最近数多く登場しているが、詞に寄り添って詩情豊かに歌い上げる彼女のヴォーカルは確立された個性の上に成り立ったもので、その卓越した表現力はまさにジャズ・シンガーの名にふさわしい。曲目は自作のオリジナルからシンプリー・レッドの大ヒット「Holding Back the Years」のようなカヴァー曲までと多彩だが、どれも独自のものとして消化されており、抑制された歌声に織り込まれた細やかな情感が聞く人の心にじわじわとしみこんでいく。バックの3人もしっかりと彼女をサポート、特に新進気鋭のジャズ・ピアニストとして自身もリーダー・アルバムを発表しているテイラー・アイグスティの繊細で滑らかな演奏が際立っていた。(滝上 よう子)
写真提供:COTTON CLUB
撮影:熊沢 泉

Popular CONCERT Review

「マイルス・デイビス・アルムニ・スーパー・セッション」 3月1日 ビルボードライブ東京
 1991年に他界して以降、マイルス・デイビスの追悼作や追悼バンドは折々に登場してきた。このクインテットは81年のマイルス復帰後に関係が生まれた当時の若手で構成。アルバム先行ではなく、サウンドは蓋を開けてみるまでわからなかった。メンバーの要になるトランペット奏者がウォーレス・ルーニーということで、バンド・コンセプトの品質保証は十分。近年ブルースに傾斜していたロベン・フォードが、当時を思い出したかのような本気モードでプレイしてくれたことが嬉しい。マイルスに認められた最後の神童、ジョーイ・デフランセスコは、余裕の表情でエネルギーを注入。トレードマークの千手観音プレイでこのプロジェクトへの賛同意思を示したオマー・ハキムに、ミュージシャンシップを痛感した。アンコールの「ジャン・ピエール」でステージと客席が一体に。(杉田 宏樹)

Popular CONCERT Review

「ひとり文芸ミュージカル 三毛子」 3月10日 東京・三越劇場
 再演を重ねた夏目漱石(1868-1916)の小説「こころ」に基づくひとり文芸ミュージカル「静〜しず〜もうひとつの、こころ」に続く第2作、漱石の「吾輩は猫である」を原作とする新作ミュージカル「三毛子」が三越劇場で初演された。主要スタッフ、キャストは前作同様、脚本:スミダガワミドリ、演出・音楽:神尾憲一、振付・出演:源川瑠々子。源川演じる美人猫三毛子は、オス猫たちのマドンナ。二絃琴のお師匠さんの家で飼われており、お手伝いのフユ子と暮らしている。三毛子の夢に神様がよく出てくる。声の主は伊沢弘。猫の視点で人間の得手勝手をコミカルに描いていて楽しめる。源川瑠々子一人の語りと歌と踊りで展開するユニークなミュージカル。 舞台上手奥で、神尾憲一が美しい音楽をピアノで奏でる。その後ろ姿は、もう一人の主役といえる。見終わって、ほのぼのと心温まる余韻に包まれ、家路につく。(川上 博)

Popular CONCERT Review

「ミュージカル 二十四の瞳」 3月15日 湘南台市民シアター
 壷井栄原作「二十四の瞳」は、木下恵介監督・高峰秀子主演映画で知られ、不朽の名作として今に至っても多くの人々に愛されている。今回、壷井栄原作発表60周年、木下恵介生誕100周年というタイムリーな時に、オーサーブル制作作品として、砂田晋平演出で、震災後の日本に生きるすべての人へという熱いメッセージを乗せて、同作品がミュージカルとして新しい産声をあげた。小石先生と子供たちに慕われた大石久子先生は、ミュージカル女優の島田歌穂、男先生にはミュージカル役者の佐山陽規、小石先生の母に山下夕佳ほかベテランが固め、厳しいオーディションを通った子供たちが瑞々しい素直な演技と歌で観客の心に迫る。劇中歌は、谷山浩子作詞・作曲の「聞こえるよ耳をすませば、聞こえるよ笑うあの声」というテーマ・ソング以外、劇中ふんだんに歌われるのは、「我は海の子」「どこかで春が」「あわて床屋」「この道」「荒城の月」など懐かしい情緒あふれる唱歌、それも時折のピアノ伴奏以外は殆どアカペラという実にレトロな作品作りが、人との絆がテーマといえるこの作品の普遍的な良さをしっかりと伝えている。藤沢市湘南台に続き、東京、姫路での上演があり、更に舞台となった小豆島での上演が待っている。(本田 浩子)

Popular CONCERT Review

「イル・ディーヴォ」 3月16日 日本武道館
 今や世界で最も人気のある多国籍コーラス・グループ/イル・ディーヴォのコンサートは、昨年11月にリリースされたアルバム『ウィキッド・ゲーム』からの楽曲を中心に、彼らの魅力を十二分に堪能できるものであった。彼ら曰く「オペラとポップスの間に位置するのが、イル・ディーヴォである。」と言う様に、格調の高さと肩のこらない気楽さを兼ね備えた演出は、聴く者をイル・ディーヴォ・ワールドにどんどん惹き込んで行く。「Dove L’Amore」、「My Way」といった心を揺さぶるバラードから、リズムカルなサルサ「La Vida Sin Amor」、そして彼らの魅力が最大限に発揮される「Adagio」、「Senza Parole」、「Melanconia」等スケールが大きく力強い歌声は、女性ファンを魅了する。4人の歌声がスクランブルし、重なり合う事で唯一無二のコーラスの世界が構築される。アンコール曲「Time To Say Goodbye」の“I Love You”というコーラスで、夢の一時は幕を閉じた。(上田 和秀)

Popular INFORMATION

「キャサリン・ジェンキンス with ORCHESTRA」
 その美しき歌声と美貌で、クラシカル・クロスオーヴァーの新世代を担う歌姫と絶賛を浴びるキャサリン・ジェンキスの来日公演が決定した。本国イギリスでは、クラシック・アーティストとして、アルバム売り上げがマリア・カラスの記録を抜くなど、2004年のデビュー依頼、クラシックやオペラの名曲を中心に、ジャンルを超えた楽曲で世界を魅了して止まない。そのキャサリン・ジェンキスと彼女の魅力を最大限に引き出すために召集されたオーケストラとの共演は、音楽ファン必聴のコンサートであり、出来る限り多くの方に音楽の素晴らしさを体感して欲しい。(UK)
* 9月19日 サンケイホールブリーゼ
* 9月20日 オーチャードホール
お問い合せ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999
http://udo.jp/

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