2010年8月 

 
Popular ALBUM Review



「100マイルズ・フロム・メンフィス/シェリル・クロウ」(ユニバーサルミュージック/ UICA-1056)
 メンフィスから100マイル離れたミズーリー州ケネットがシェリルの生まれ故郷、そこでラジオから流れるオーティス・レディング、ウィルソン・ピケット、サム&デイヴ、エディ・フロイド、アレサ・フランクリンを聴いて育った。そんな音楽ルーツをしっかりと見つめながら彼女はこの新作を仕上げた、実にソウルフルでファンキーな出来映えなのだ。「アイ・トゥ・アイ」では、ストーンズのキース・リチャーズがゲスト参加している。ふたりは大の仲良しで、イギリスの音楽雑誌の表紙を飾ったこともある。そして、テレンス・トレント・ダービーのカヴァー「恋愛契約」にはジャスティン・ティンバーレイクもジョイント。ボーナス・トラック、J5の「帰ってほしいの」にもしびれっぱなしだ。(Mike M. Koshitani)

Popular ALBUM Review

「ブリテッシュ・ロック解釈/ベティ・ラヴェット」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-2722)
 1960年からレコードは発表していたけど、ファンの注目を大きく集めたのは80年代。ベティ・ラヴェットはまさにリアルなレディ・ソウル。このところ着実に活動している。そんな彼女がビートルズ、ザ・フー、アニマルズ、ムーディー・ブルース、レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイドほかの英国楽曲をR&Bとしてじっくりと聴かせる。そのソウルフルな歌いっぷりに黒人音楽フリークも涙させられるだろう。全13曲収録中、最高の出来はひいき目なしに「地の塩」(Salt Of The Earth)だ。ローリング・ストーンズの名作である。キース・リチャ―ズはこう絶賛している、「ベティ・ラヴェットの歌声を聴いた時、そこには変わることのない歌い方があった、しかし珍しく明白に自由さと感情が存在していた。最高のアルバムだよ。俺をファン・クラブに入れてくれ!」。(Mike M. Koshitani)


Popular ALBUM Review

「イン・マイ・ライフ/ベンチャーズ」(EMIミュージック・ジャパン/TOCPー70839)
 今年の夏も全国でテケテケテケ・ツアー!ベンチャーズがジャパン・サマー・ツアーだ!!もちろん僕も楽しみにしている。そんな彼らのニュー・アルバムはビートルズ・カヴァー。1965年、彼らは『ノック・ミー・アウト!』でB4ナンバーを取り上げていたけど、そんなこれまでの既発表楽曲9トラックスに加え今年レコーディングした「イン・マイ・ライフ」「ノルウェーの森」「バック・イン・ザ・Y.S.S.R.」「ペイパー・バック・ライター」など6曲、計15のB4楽曲がここで楽しめる。ゴキゲンなエレキ・ビートルズなのだ。1960年代を彷彿とさせるジャケットもドン・ウィルソンのセレクション。(Mike M. Koshitani)


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「ワンス・アイ・ラヴド/B.J.トーマス」(ビクターエンタテインメント/VICP-64862)
 思いもしなかった≪ボサノヴァ≫の新作アルバム。1974年にブラジルを訪問して以来、とりこになっていたとは。。。恥ずかしながら知らなんだ。思いが募りようやくそのカヴァー集を世に出せたというわけだが、これまた思わぬ収穫といえるような仕上がりで40数年来のファンを自認する当方も改めてB.J.にハマりそう。「おいしい水」「イパネマの娘」「黒いオルフェ」。。。しかもイヴァン・リンス、ジョアン・ボスコら現地の著名人たちもゲスト参加という本格盤。何よりもB.J.ファンの間では名曲として名高い「ロックン・ロール・ララバイ」のボサノヴァ風セルフ・リメイク版が嬉しい♪新作と同時に1960年代後期〜1970年代前期のアルバム4枚も紙ジャケSHM-CD仕様で復刻!今年はあの「雨にぬれても」からちょうど40周年♪(上柴 とおる)

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「ジャスト・アクロス・ザ・リヴァー/ジミー・ウェッブ」(ビクターエンタテインメント/VICP-64861)
 フランク・シナトラがその才能を認め、ビリー・ジョエルも同じソングライターとして尊敬の念を抱くジミー・ウェッブの新作は何とセルフ・トリビュート盤。楽曲の素晴らしさは言うまでもなく豪華ゲストとのコラボの妙も絶品。‘お約束’のような「恋はフェニックス」(withグレン・キャンベル)「ウイチタ・ラインマン」(withビリー・ジョエル)に加えて個人的にも昔から好きだった隠れ名曲「P.F.スローン」(withジャクソン・ブラウン)に「こんなにええ曲やったんか♪」と惚れ直してしまった。他にもリンダ・ロンシュタット、J.D.サウザー、マイケル・マクドナルド、ウィリー・ネルソン、ルシンダ・ウィリアムス、ヴィンス・ギル、そしてマーク・ノップラー(いい味!)まで参加。聴き終わった後「長年、ポップスを聴いて来て良かった。。。」とじんわり。(上柴 とおる)

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「GRACE POTTER AND THE NOCTURNALS/GRACE POTTER AND THE NOCTURNALS 」(Hollywood Records/B0038QK5UI)*輸入盤
 
主人公グレイスの、長くて美しい脚に惹かれてひさびさに純粋なジャケ買いをしてしまった。しばらく前からYouTubeでデレク・トラックス・バンドやガヴァメント・ミュールらと共演する映像を目にしていたあの存在感の強い女性だとあとで気づき、密かに恥じ入った次第。ノクターナルズは合衆国北東部ヴァーモント出身の彼女が04年ころに結成したバンドで、スタジオ盤はこれが3枚目。『アリス・イン・ワンダーランド』の関連アルバム『オールモースト・アリス』に「ホワイト・ラビット」を提供したこともあって急速に注目度をアップさせている彼女たちにとっては実質的なデビュー作といってもいいだろう。背伸びせず、臆することもなく、あくまでも自然体でジェファーソンやジャニスの時代のあの音に取り組んでいる姿勢に好感を持った。ちょっと前にベーシストがやはり美脚のキャサリーン・ポッパーに替わっていて、美女二人と長髪の汚いヒッピー三人という構成のヴィジュアルもなかなか。(大友 博)

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「プレイズ・ジミ・ヘンドリックス/ブライアン・ブロンバーグ」(キングレコード/KICJ-590)
 超絶テックニックを誇るベーシスト、ブライアン・ブロンバーグが、ジェフ・ベックのサポートでも有名なドラマーのヴィニー・カリウタと2人だけで作り上げたジミ・ヘンドリックス・トリビュート・アルバム。全編に渡ってギターが入っているように聴こえるのだが、使われているのはベースのみ。通常のエレキ・ベース、ウッド・ベースのほか、テナー・ベース、ピッコロ・ベースなどさまざまなタイプのものを使い、そこにディストーションをかけるなどして、多彩なサウンドを作り上げている。超越したプレイと、ベースが持つ可能性の大きさに圧倒されてしまう作品だ。(細川 真平)

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「マイ・トリビュート・トゥ・ザ・キング/マリーナ・モーテンソン」(スパイスオブライフ/PBCM-61042)
 北欧スウェーデンから有望新人がデビュー。まだ23歳というのにこの存在感。‘ポスト・ノラ・ジョーンズ世代’らしいけどジャズ、ブルース、ポップ、カントリー。。。何でも呑み込んでしまう懐の深さと多彩な解釈力。。。これは十派ひとからげにしてはいかんでしょ。今回のアルバムは‘キング’=エルヴィス・プレスリーに捧げた内容で「サスピシャス・マインド」「ハウンド・ドッグ」「恋にしびれて」といったおなじみの曲だけではなくプレスリーがカヴァーした「この胸のときめきを」や「ネバー・ビーン・トゥ・スペイン」(スリー・ドッグ・ナイトでヒット)なども。6歳上の姉の影響を受けて組んだジャズ・バンドがマリーナの原点。耳の肥えた年輩のリスナーも「おっこれは♪」と気になるはず。(上柴 とおる)

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「アート・オブ・マイケル・フランクス/ヴェロニカ・ナン」(T.A.C.S records/TACM-0020)
 日本でもファンの多いマイケル・フランクスは、1970年代後半のAORを代表する歌手だが、初のオフィシャル・トリビュート・アルバムが出た。ヴェテラン・ジャズ歌手、ヴェロニカ・ナン のもの。70年代からニューヨークのジャズ・シーンで活躍し、デイヴ・グルーシン、ジョアン・ジルベルト、スティング他との共演でも知られ、フランクスのツアーにも参加している。フランクスにほれ込んでのトリビュートは、彼のバンドがバック・編曲を行っているが、知的でソフトな原曲とはかなり趣を変え、よりリアルでジャジーな仕上がりになっている曲も少なくない。が、原曲の本質を大切に円熟した歌声を聞かせる。ご本尊が参加してのデュエット「リーディング・ミー・バック・トゥ・ユー」にはフランクスのテイストが生きている。(鈴木 道子)

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「マルコス・ヴァーリ/エスペーラ」(T.A.C.S records/TACM-0017)
 息の長いアーティストの一人だ。彼の名が世に出るきっかけはやはり60年代後半の「サマーサンバ」によってだろう。今日、マルコス・ヴァーリがMPBの重要な存在であることに異論はない。いままでに多くのミュージシャンたち、とりわけジャズ・ミュージシャンたちが彼の楽曲を好んで取り上げてきたことによっても明らかだ。6年ぶりとなるこの作品はミュージシャン、メロディメイカーとしての彼の魅力を詰め込んだ、ある意味では集大成ともいえる作品だ。10曲すべて彼のオリジナルで構成されるが、うち2曲はインスト作品だ。ジョイスが詞を提供したTrack4「PAPO DE MALUCO」がベスト・テイク。先だってのブルーノート・ライヴでも取り上げていたが、Patricia Alviとの息のあった歌唱はブラジリアン・ポップの真骨頂だ。(三塚 博)

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「I ♥ UKULELE(アイ・ラブ・ウクレレ)/ ジェイク・シマブクロ」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SIPC2767)
 ウクレレ・プレイヤ−として知名度1のジェイク・シマブクロが2年ぶりにオリジナル・アルバムをリリース。アルバム16曲中12曲が自らの作曲と、演奏だけでなく曲作りにも力を入れていることがよくわかる。ウクレレの音色が美しい癒し系の曲から、ロック・テイストでバンド編成の激しい曲まで、ジェイクの新しい魅力がほとばしっている。中でもウクレレ1本で演奏する、クィーンの名作「ボヘミアン・ラプソディ」は注目。ウクレレという楽器の可能性を追求した素晴らしいトライだと評価したい。それに加え今作では、ウクレレ・プレイヤ−からミュージシャンにステップアップしていこうとするジェイクの気持ちが強くでている。サウンド全体のバランスに気を使い、楽曲としての完成度を上げようとしているプロデューサーとしての意識を強く感じる。2008年アルバム『YEAH』に収録されていた曲を3曲もアレンジし直し収録しているところにもそんなこだわりが感じられる。もしかしたら、ジェイクはウクレレを特殊な民族楽器としてではなく、メインストリームになりうる弦楽器としてアピールしているのかもしれない。(鈴木 修一)

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「グレイテスト・ヒッツ<最強盤>/レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」(ワーナーミュジック・ジャパン/WPCR-13878〜79)
 レッド・ホット・チリ・ペッパーズの『グレイテスト・ヒッツ』は、あえてそう言わなくとも“最強盤”だったと思う。だが、そこに映画『BECK』(9月4日公開)のオープニング・テーマとなった「アラウンド・ザ・ワールド」のCDシングル(全4曲入り)をカップリングすることにより、名実ともに“最強盤”となった(日本オリジナル企画)。ぜひこれを機会に、これまでレッチリを聴いていなかった層にも聴いてもらい、ぶっ飛んでもらいたい。この最強盤は、きっと洋楽ロック人口を増やしてくれるはずだ。(細川 真平)

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「テイラー・スウィフト/テイラー・スウィフト」(ユニバーサルミュージック/UICO-1187)
「テイラー・スウィフト(デラックス・エディション)/テイラー・スウィフト」(ユニバーサルミュージック/UICO-1186)

 名実共に全米を代表するトップ・スター、テイラー・スウィフト。去る2月17日、熱狂の初来日公演の記憶も新しい中、サマー・ソニック2010での再来日が決定! そして来日を記念して、日本未発売だった2006年発表のデビュー作が遂にお目見え。同作は全米では過去3回発売されているが、今回はそのうちボーナス・トラック追加CD+DVD付(権利の関係で米盤より少ない内容)のデラックス・エディション、そしてボーナス・トラック追加盤CDの2形態が登場。デラックスの方は、米盤より少ないとはいえ日本語字幕付DVDだし、何より米盤は既に生産中止なので、ファンなら必携。通常盤の方も、デラックスには未収録のポップ・ヴァージョンが入っていたりと、これまたファン心理をくすぐる内容。何にせよ、これでサマソニ対策はバッチリ!(森井 嘉浩) 

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「波の数だけ抱きしめて Kiwi FM オリジナル・サウンドトラック(コンプリート版)」(ソニー・ミュージックジャパン インターナショナル/SICP-2749)
 1991年公開の中山美穂、織田裕二主演映画のサントラ盤が、DVD&Blu-rayの発売に合わせ、コンプリート版で登場。当時のサントラには未収録だったジョン・オバニオン、カラパナの3曲を追加収録し、曲順も劇中の登場順に変更。さらに“FM 76.3 MHz Kiwi ジングル”も最初と最後に収録。映画公開時に青春を過ごした人はもちろん、映画の設定となった80年代初頭のAORのコンピレイションとしても楽しめ、そして当時の若者たちがアメリカ、とりわけ西海岸に訳もなく憧れていた時代の雰囲気も味わえる、格好の1枚。(森井 嘉浩)

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「若大将50年!/加山雄三」(ドリーミュージック/MUCD-1225)
 加山雄三のデビュー50周年を記念アルバム。オープニングを飾る「座・ロンリーハーツ親父バンド」は、本作の為に集まった森山良子、谷村新司、南こうせつ、さだまさし、THE ALFEEによるバンド、ザ・ヤンチャーズを率いての賑やかな曲で、作曲はもちろん弾厚作。本作は主に二部構成、前半はゲストが参加してのセルフカヴァー。中でもTHE ALFEEが参加した「夜空の星」は彼らのヒット曲「星空のディスタンス」との共通点を窺い知る事ができる出色の出来。後半は「知床旅情」「夜霧よ今夜も有難う」といった昭和のスタンダードをしっとりと歌い上げている。ラストには新曲のバラード「ハーモニー」、そしてボーナス・トラックとして、加山の音楽活動の原点となった大学時代の仲間とのバンド、カントリー・クロップスによる「My Shoes Keep Walking Back to You」を収録。50年前と変わらない雰囲気で、カントリーの名曲を和やかに歌い演奏する彼らの姿が目に浮かんでくる。(町井 ハジメ)

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「The Life Album/山本恭司」(ワイルドランド/MARS-7786)
 BOWWOWのギタリスト、山本恭司の新作。実にドラマティックな仕上がりだ。このところ、ソロ・アルバムでは演奏およびミックスまで完全にワンマンのスタイルにこだわっているが、本作でもすべて彼が演奏している。それは、音楽活動の大きな夢でもあったと語る。卓越したギター・テクニックを屈指し、そこから大きな自由な世界を築き上げる。ロックな世界はもちろん、「Go Ahead!」ではジャジ―な展開も楽しませてくれる。「ジャズにはアウトロー的な自由を感じる」。そしてジャパニーズ・トラディショナル・タッチな「Talking To Myself」、アコースティックな「Sunset Horizon」。アコギの魅力を「木の響きの温もり、すぐに消え入る音の儚さに魅かれる」と、表現してくれた。全10曲がまさに山本恭司のサウンド・ワールド、音楽に必死に取り組み始めた頃を表現しているのかもしれない。まるでサウンドトラックを聴いているかのような実に重厚感あふれた『The Life Album』である。(Mike M. Koshitani)

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「Triple Booster Live "15th Boosted On"/THE SONS」(Fuzz Box/SOB-004)
 ジャパニーズ・ロック・シーンで気骨あふれた活動を呈しているTHE SONS。昨年の15周年ツアーからのTOKYO LIVEが2枚組となってファンの前に登場。ハードでブルージ―なichiroのパワフルなギター、ベテランの味さえ感じさせるようになった確実でファンキーなベース・ラインでオーディエンスをうならせる鮫島秀樹、そしてロックロックなエキサイティングなドラミングのロジャー高橋。このトリオはますます円熟味を増幅させながら大きくハードな海を泳ぎまわっていく。このLIVE ALBUMはそんなピュアな3人のロック魂をダイレクトに感じさせるのだ。そんなTHE SONSは7〜9月、FULFILL BOOGIEを敢行中だ。(高見 展)
ツアー・インフォ http://www.geocities.jp/samechanhp/thesons.htm

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「レジェンド・オブ・ロック / Rainbow Knights as RAINBOW、 MYG as THE MICHAEL SHENKER GROUP、  Platinum Snake as WHITESNAKE」(オーマガトキ/OMCA-1133)
 レジェンド・オブ・ロックの第2弾 は、レインボー、マイケル・シェンカー・グループ、ホワイト・スネークをこよなく愛するトリビューター達による、ロニー・ジェイムス・ディオ、コージー・ パウエルへ捧げるレクイエムとなった。どのバンドのメンバーも、リスペクトするミュージシャンの演奏方法、アレンジ、楽器、エフェクターに至るまで見事な までに良く研究し尽くしていて、一ロック・ファンとして心から敬意を表したい。そして何よりも感心したのが、各バンドのオリジナル曲だ。オリジナル・バン ドの曲だと言っても疑う余地のない程、オリジナル・バンドらしい仕上がりになっている。トリビュートも良いが、トリビュート・バンドによるオリジナル曲集 も本当の実力が分かり面白いと思うが如何だろうか。(上田 和秀)

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「ムード・トランペットの王様 ニニ・ロッソの魅力」(ビクターエンタテインメント/ VICP -47029〜30)
 6月12日の朝日新聞「うたの旅人」欄2ページに亘って、ニニ・ロッソが取り上げられた。懐かしいニニのトランペットと歌を久しぶりで聴いてみたくなった時に、ベスト・セレクションとも云うべき2枚組CDが出た。「夜空のトランペット」「夕焼けのトランペット」「さすらいのトランペット」等、ニニのオリジナル・ヒット曲。「星空のブルース」「真夜中のブルース」等、トランペットのヒット曲、「ガラスの部屋」「ジェルソミーナ」「死ぬほど愛して」等、イタリア映画主題曲。アメリカその他の映画音楽、ヒット曲、ギター曲やクラシック曲のアダプテーション等、盛り沢山の全42曲。ニニの音楽が堪能できる。(川上 博)

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「お気に入りのベッド/エスター・カイザー」(オーマガトキ/OMCZ-1036)
 ドイツのジャズ・ヴォーカリスト、エスター・カイザーは、2004年にピアソラやスティングのナンバーなどを収録したアルバムからスタートしたが、第3作では自作を中心に、ジョニ・ミッチェル作品やトラッド曲も含め、全曲英語で好唱している。「時には母のない子のように」は魂を揺さぶる痛切な寂しさを歌ったゴスペルだが、ここでは哀感をさらりと歌っているのが印象的で、え?と思いながら、こういうのもありかなと思わせるクールな出来になっている。ピアノと歌だけだったジョニの「リヴァー」は、逆に陰影の深い凝ったアレンジで、この曲の鬱々たる内面を掘り下げ、彼女の実力を発揮している。クリアな英語とともに全体に知的で澄んだ空気が美しく、自作も佳曲が少なくない。(鈴木 道子)

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「スインギン/ 原信夫とシャープス&フラッツ with 秋元順子」(キングレコード/KICJ-2238)
 引退宣言後も引っ張りだこの忙しさのシャープ&フラッツの新録音だが、よくスイングしていて楽しく、「シャイニー・ストッキングス」「シング・シング・シング」などを演奏しているが、話題のひとつが4曲で共演して歌っているのが、いま歌謡界でも有名になっている歌手・秋元順子だと思う。「センチメンタル・ジャーニー」「テネシー・ワルツ」「明るい表通り」、原信夫作曲の「真赤な太陽」を歌っているが、戦後すぐのナンシー梅木や江利チエミを思い起こさせる素直な歌いっぷりで好感がもてる。秋元順子はもともとジャズを歌っていたので、表現力もしっかりしている。彼女の歌を聴く価値は十分にあるといえる。(岩浪 洋三)

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「Someone Unforgettable/森郁 (Iku Mori)」(What’s New Records/ WNCS 5122)
 森郁は、1999年にデビュー。2005年の≪日本ジャズ・ヴォーカル新人賞≫に輝き、初CD『I Remember You』を発表。本アルバムは、彼女の第2作目になる。タイトルの示す通り、亡くなった母親、お世話になった人々と「忘れがたい人」に捧げる作品。魅力的なウイスパリング・ヴォイスでヴァースから歌うジョビンの「サムワン・トゥ・ライト・アップ・マイ・ライフ」から始まり、ナット・コールで有名なナンバーも何曲が交え心の籠った、温か味のある自然体の歌を聴かせる。伴奏は、青木弘武(p)のトリオに曲によって高野正幹(ss、ts)が参加する。最後に父親の元中日ドラゴンズのスラッガー、ホームラン王も取った森徹氏と心温まるデュエットで「アンフォーゲッタブル」を披露しているのだ。(高田 敬三)

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「ストラッティン/纐纈歩美」(ポニーキャニオン/MYCJ.30573)
 いま日本では女性アルト・サックス奏者 が花盛り。寺久保エレナのアルバムとほぼ同時に発売されたコーケツ・アユミは鈴木勲グループでデビューして話題になった纐纈雅代とは別人で、本作が初リー ダー作。寺久保のライバルになりうる存在だ。寺久保より音に色気があると評する人もいるが、キャノンボール・アダレイがプレイした「デル・サッサー」から オーネット・コールマンの「ブルース・コノテーション」までをカバーした幅の広さも魅力だし、スイング時代に流行った「ウィザウト・ユー」や「朝日のごと くさわやかに」といったスタンダードも楽しく聴かせる。未知の可能性をもった、しっかりした音のアルト奏者だ。納谷嘉彦(p)トリオと共演したカルテット 編成。(岩浪洋三)

Popular ALBUM Review

「Dream with Me/光枝明彦」(JPエンターテインメント /COC 0812)
 「ラ・マンチャの男」「キャッツ」「エビータ」等多くの作品に出ているベテラン・ミュージカル・スター光枝明彦。キャスト盤は沢山あるが、ソロ・アルバムとしてはこれが第一作。光枝がマスターの、小さな音楽バー。ジューク・ボックスから、楽しい歌が次々飛び出す仕掛け。ミュージカル「モーツァルト!」からの曲を日本語で、「マイ・フェア・レディ」は英語で歌う。木村弓との息の合ったデュエットに続いて、前田憲男・編曲に乗せて軽やかにコール・ポーターの「夜も昼も」「エニシング・ゴーズ」等4曲、ロンバーグの「恋人よ我に帰れ」を元宝塚トップスター湖月わたるとデュエットで、情熱的に歌い上げる。光枝ワールドが存分に楽しめる、必聴の一枚。特典DVD付。(川上 博)
*取扱/JPウエブストア:http://jpww.ocnk.net/product/35
山野楽器 −YAMANO MUSIC Online 
http://www.yamano-music.co.jp/userProdDetail.do?itemCode=Y081025874&type=M

Popular DVD Review

「ストーンズ・イン・エグザイル〜『メイン・ストリートのならず者』の真実 /ザ・ローリング・ストーンズ」(ヤマハミュージックアンドビジュアルズ/YMBA-10160)
 1972年のストーンズ名作『メイン・ストリートのならず者』がつい先ごろ、未発表楽曲やアウトテイク・ヴァージョンを加えた新たなるマテリアルとして登場。ファンの間で大きな話題になっている。そんな『メイン・ストリートのならず者』の制作過程や当時のエピソードなどを交えながらメンバー自身や多くの関係者などの証言をまとめたのが本作である。特に、フランスのキースの別邸(当時)でのストーリーはまさに1970年代前半という時代をダイレクトに感じさせるたりもする。ロック・ヒストリー映像である。あの『コック・サッカー・ブルース』からのフッテージ映像も収録。カンヌ映画祭にも登場し、我が国でも映画としても公開中だ。DVDには本編60分+ボーナス映像45分×2。(高見 展)

Popular DVD Review

「ロンドン・コーリング:ライヴ・イン・ハイドパーク / ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド 」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SIBP181-182)
 BOSSことブルース・スプリングスティーンの6年振りとなるライヴ作品は、勿論盟友Eストリート・バンドとの共演で、5万人の観衆を集めた初の野外コンサート・フィルムとなる2枚組DVDである。いきなりクラッシュの「ロンドン・コーリング」から始まるライヴは、究極のベスト選曲とも呼ぶべきセットリストで、その音質と画質の良さとサラウンド効果により強力に見る者に迫ってくる。60歳になったBOSSが全身全霊で挑んだ姿が、曲を追うごとに汗で色が変わっていくシャツと疲労の蓄積に現れるが、がむしゃらにシャウトする姿は神々しくもあり、ストレートなロックンロールからアメリカの裏側を歌った曲まで世代や国を越え共感されるだろう。それにしても、BOSS程テレキャスターをかき鳴らす姿が似合う男も珍しい。この夏BOSSが、ロックシーンをヒートアップする。(上田 和秀)

Popular DVD Review

「エレック唄の市2009」(ポニーキャニオン/PCBP-51998)
 1970年代、日本のフォーク・シーンを牽引したエレックレコードを象徴するコンサートだった≪唄の市≫が、昨年11月、東京・九段会館で35年ぶりの復活を遂げた。その模様を収録したのがこのDVDだ。泉谷しげる、古井戸の加奈崎芳太郎、生田敬太郎、佐藤公彦(ケメ)のほか、エレックレコードでのスタジオ・セッション・ワークでプロとしてのキャリアをスタートさせたCharや、ピアニストの中西康晴、エレック作品に多大な影響を受けたという漫画家の浦沢直樹や和久井光司など、錚々たるメンバーが出演。エレックという伝説が、また新たな伝説を作った一夜を、余すところなく伝えてくれる作品だ。(細川 真平)

Popular DVD Review

「BOWWOW SUPER LIVE 2009/BOWWOW」(MARS RECORDS/MARS-DV12)
 昨年9月12日に渋谷O-EASTで行われたライヴを収録。日本を代表するハード・ロック・ギタリスト、山本恭司のますます磨きがかかったプレイを中心に、べテランらしい隙のなさと、若い者をはじけ飛ばしそうな勢いが両立した見事なステージを楽しめる。「SIGNAL FIRE」での山本と斉藤光浩のツイン・リード&ギター・バトルには、往年のファンならずとも熱くなるはず。また、アコースティック・コーナーが設けられているところなどは、“今の”BOWWOWらしさが感じられてとてもいい。だが、もちろん真骨頂はハードなナンバー。こぶしを振り上げながら観ていただきたい。(細川 真平)

Popular BOOK Review

「追憶のハリウッド '60s〜もうひとつのディラン詩集/詩:ボブ・ディラン 写真:バリー・ファインスタイン 訳:中川五郎」(青土社)
 1964年、ディランとファインスタインは一冊の本を完成させたが、出版社の事情で実際には出版されず、お蔵入りになってしまった。失われた幻のこの企画は、44年後にようやく日の目を見ることになった。ファインスタインは、ディランの3枚目のアルバム『時代は変る』のジャケット写真、23歳の若者とは思えない成熟した一瞬の表情をとらえた写真を撮影したカメラマンだ。ファインスタインはジャーナリストの視点でシャッターを切る。そんな彼が60年代初期のハリウッドで撮影した一連の写真を見て、ディランは思い浮かんだことばを23篇の詩で表現した。結果、それぞれの写真がディランを通じて何かを語りかけるような不思議な世界が本書に再現されている。ディランとファインスタインは、1枚のジャケット写真を撮影したあと、単にモデルとカメラマンの関係以上に、たがいに友情で結ばれていたのだろう。66年のヨーロッパ・ツアーや74年の全米ツアーにファインスタインは公式カメラマンとしてディランと同行している。このとき撮影した写真は『ボブ・ディラン写真集:時代が変る瞬間』として2008年に出版されている。(菅野 ヘッケル)

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「ジョニ・ミッチェルという生き方 ありのままの私を愛して/ミッシェル・マ−サー著 中谷ななみ・訳」(ブルース・インターアクションズ)
 ジョニ・ミッチェルという稀有で多彩な才能を持った女性シンガー/ソングライターの生き様とアートが、単なるドキュメンタリーではなく、著者の目を通して克明に描き出されていく。その生い立ちから、彼女の音楽の土台となっているカナダ西部の広大な平原、ギリシャへの逃避行で経験した穴居生活、そしてレナード・コーエンやグレアム・ナッシュはじめジョニの生を形造る数々の恋や出来事が、いかに作品を構築していくか。本書の中心は≪JONI MITCHELL BLUE≫と原題にもあるように彼女の自伝的名作『ブルー』で、後半生にはあまり触れていないが、幅広い教養をもつ著者が深い洞察力を持って、ジョニの詩や音楽に切り込んでいくところは読み応えがある。(鈴木 道子)

Popular BOOK Review

「ザ・ビートルズ・イクイップメント・ストーリーズ」(シンコーミュージック・エンタテイメント)
 ザ・ビートルズは今や≪音学≫として、様々な角度から研究が続けられているが、本書はそんなB4の各メンバーがどんな楽器を使用してきてあの偉大なるサウンドを生み出していったかを、実にアカデミックにそして幅広い角度から取り上げている。興味ある一冊だ。アマチュア・ミュージシャンには特に勉強になったりするけど、一方で星加ルミ子さんがレコーディング中のB4をロンドンのスタジオを訪ねた際のフォト記録などブリテッシュ・ロック・ファンにも興味ある頁も多い。坂崎幸之助・インタビューも読み応えがある。(高見 展)

Popular BOOK Review







「ビートルズ/ハンター・デイヴィス著 小笠原豊樹 中田耕二・訳」(河出書房新社) *全2巻
著/ハンター・デイヴィス 訳/小笠原豊樹・中田耕二 河出書房新社

  1969年の刊行以来、唯一の公認伝としてロングセラーを続けてきたビートルズ伝が上・下2巻で文庫化された。その後の出来事などが増補されているほか、40年ぶりに訳語も見直されており、非常に読みやすくなっている。メンバー4人はもちろん、家族・友人・関係者らからの直接の取材にもとづいて執筆されており、その後のビートルズ伝に必ず引用されるなど、同時代史としても高く評価されており、音楽や音楽史のみならず現代文化に関心のある人は必携書である。(広田 寛治)

Popular BOOK Review

「リヴァーサイド・ジャズの名盤50/中山康樹・著」(双葉社)
 絶好調のリリースを続ける筆者の、今度はジャズ書である。セロニアス・モンク、ビル・エヴァンス、ウェス・モンゴメリー等が数多くの名盤を残したリヴァーサイド・レーベルの作品から50作を厳選、徹底的な調査を交えながら中山節で一気に読ませる。リヴァーサイドはブルーノートやプレスティッジといったレーベルよりも早くからレコード・ジャケットをカラー印刷していた。まな板にあげられた50作のジャケットはすべてカラー写真で紹介されているので、いわゆるミッド・センチュリー・ファニチャー(50年代のアメリカ家具)にも通じるリヴァーサイドのキッチュなデザインを再認識できる絶好の機会でもある。フィリー・ジョー・ジョーンズがデューク・エリントン楽団に誘われていたという話は初めて知ったし、≪ブルーノートは重厚な季刊誌、プレスティッジは身軽な週刊誌、リヴァーサイドは文章主体の月刊誌≫という形容にも唸ってしまった。(原田 和典)

Popular BOOK Review

「ディスク・ガイド・シリーズ ジャズ・トランペット/監修・原田和典」(シンコーミュージック・エンターテイメント)
 こんな時節だというのに、毎年、新しいものを出させていただけるのは本当に光栄の至りである。2008年の『ディスク・ガイド・シリーズ ジャズ・サックス』、09年の『同 ジャズ・ピアノ』に続いて、今度はトランペット編をリリースさせていただいた。日本ではどうしてもマイルス・デイヴィス等、モダン・ジャズ系のトランペット奏者に関心が集まりがちだが、ジャズ100年の歴史の中であらゆるスタイルに凄腕がちらばっているのもまた、ジャズ・トランペットという分野だと僕は確信している。啓蒙というと口幅ったいが、ジャズの限りない魅力のとりこになってしまった者が、次の世代にそれを伝えるのは責務であろう。というわけで今回も、僕が心から「これはいいよ、楽しいよ、聴いてみて!」と呼びかけるようなアルバムをジックリと選定し、愛をこめて紹介した。1920年代の伝説的巨匠から、現代のジャズをリードするバリバリの若手まで、紙面の許す限り掲載したのである。(原田 和典)

Popular CONCERT Review

「ステフォン・ハリス&ブラックアウト」 6月1日 COTTON CLUB
 アルバム『ウルバヌス』も相当面白かったが、なにしろ伸び盛りのバンドだからして、同じ曲をやってもライヴではどんどん発展して、組曲のような壮大な展開になっていく。しかしそれでいてファンキーな持ち味は失われないのだから、まったくあっぱれだ。ステフォン・ハリスは1973年生まれのヴィブラフォン&マリンバ奏者。90年代にブルーノートからデビューしたときは正統派ジャズ・ヴァイブの新星という感じだったが、今はもっとパワフルでワイルドだ。2つの楽器をL字状に並べ、その中をかけずりまわってプレイする姿は豹のように精悍。ヴィブラフォンの筒に向けて口をパクパクあけて音色を変化させるテクニックにも驚かされた。ヴォコーダーでシャウトするケイシー・ベンジャミン、全身ポリリズムと化したテリオン・ガリーのドラムスも見事。再来日を早急に望む!(原田 和典) 写真提供:コットンクラブ 撮影:米田泰久


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「196th KIRIN LAGER CLUB 歌謡 WONDERLAND〜かようわんだーらんど」 6月4日  原宿クエストホール   
 1989年から開催されている「KIRIN LAGER CLUB」に≪昭和歌謡≫が登場した。オープニングを飾るのは女性グループサウンズのキノコホテル。故・大原麗子のデビュー曲「ピーコック・ベイビー」のカヴァーに趣味の良さを感じた。続いては、芸歴半世紀を超えるこまどり姉妹の登場。ドキュメンタリー映画の公開で再評価の進んでいる折、タイムリーな登場だ。カラオケをバックにした正味20数分のステージだったが、歌声のコク、『お客様は神様です』的な立ち居振る舞いには、どうしようもないほど豊かな年輪・風格がにじみ出ていた。この日はほかに渚ようこや東京パノラママンボボーイズのライヴもあったのだが、こまどり姉妹がすべてのクライマックスをさらってしまったように僕には思えた。ホンモノの持つちからは、それほどまでに強く分厚いものなのである。(原田 和典)


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「カサンドラ・ウィルソン」 6月13日 Billboard Live TOKYO
 2008年度グラミー賞で『ラヴァリー』がベスト・ジャズ・ヴォーカル賞に輝き、黒人女性歌手の最高峰であることを改めて示したカサンドラ・ウィルソン。約2年ぶりの来日公演は、初登場となる六本木の新名所で行われた。定番となっているギター、パーカッションを含む5人編成のバンドがまず登場して、アフロ・サウンドを奏でながらステージを暖める。1曲目の途中でカサンドラが加わると、たちまち独自の世界がくっきり。扇子を動かしながら歌う姿は貫禄たっぷりで、まさに女王の名に相応しい。『ニュー・ムーン・ドーター』の日本盤ボーナス・トラックで、「私にとって特別な曲」と紹介した「ムーン・リヴァー」は、近年力を入れるスタンダードの中でも代表曲だと再認識。バンド・メンバーでは初参加のドラマー、ハーリン・ライリーのプレイが光った。(杉田 宏樹)


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「西藤ヒロノブ meets 佐藤傳次郎 + KAZZ / Makani Pili〜Touching Wind〜海の風」 6月17日  Motion Blue Yokohama
 デビュー以来、世界各国をツアーしながら出会った様々な体験を糧にジャズ・ギタリストとして着実に成長し続けている西藤ヒロノブ。日本ツアーでも毎年、多彩な顔ぶれのミュージシャン達と共演し、ギタリストとしての幅を広げているが、今回のライヴのテーマはハワイ。共演者としてウクレレ・サイズのギターを操るギタリストのKAZZを迎え、背景には世界でもトップ・クラスのハワイ在住のサーフカメラマン、佐藤傳次郎の映像をフィーチャーするという趣向を凝らした内容で、ステージに心地良いハワイの風を運んでくれる。中でも印象に残ったのが佐藤のサーフ映画『Mana』のサウンドトラックをライヴで演奏したセカンド・セットで、スケールの大きなハワイの波の映像に合わせ、時に優しく、時に力強く奏でる演奏は細部まで神経が行き届いていて映画を更に盛り上げてくれた。確かなテクニックと溺れ過ぎることのない情感。その絶妙なバランスの上に成り立った演奏だからこそ、心に訴えるものが大きかったのだと思う。(滝上 よう子)写真:松本英明


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「相対性理論 presents 『立式 I』 6月20日 Billboard Live TOKYO  
 ≪時の人≫ならぬ≪時のバンド≫、相対性理論がBillboard Live TOKYOに登場した。ヴォーカルのやくしまるえつこは、かつてジム・オルークのライヴにゲスト参加したことがあるけれど、もちろんバンドとしての出演は初めて。ユニークな歌詞、諧謔たっぷりのタイトル(これまでのアルバム名は『シフォン主義』『ハイファイ新書』『シンクロニシティーン』)、やくしまるのウィスパー・ヴォイス等、つかみどころはいっぱいあるけれど、僕が最も惹かれたのは、コード(和音)の種類の多さ。カラフルなバッキングと、やくしまるのささやきが絶妙なコントラストを描くのだ。この日は、イトケンと近藤研二をゲストに迎えた6人編成。ツイン・ギター、ツイン・ドラムの分厚い響きを背後に受けながら、それでもうつむきかげんにささやきつづけるやくしまるに、なんともいえないいさましさをかんじた。(原田 和典)


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「blues.the- butcher-590213」 6月29日 JIROKICHI
 永井ホトケ隆が率いるblues.the- butcher-590213のこの日のライヴに、ニューオーリンズで活動を続ける山岸潤史がジョイント。ふたりはご存知、ウエストロード・ブルース・バンドのメンバーとして70年代に活躍した。そんなふたりだけに、久しぶりだろうが急にだろうがその呼吸はぴたりとあい、ブルースの世界へと一気にオーディエンスを引っ張り込んでいく。あの、山岸のギターと格闘するかの如くの弾きまくるスタイルは何度味わっても見ごたえ、聴きごたえがある。そんな山岸を引っ張り、なだめ、しっかりとサポートしながらもやはりそこはいい意味でのバトルへと展開していくホトケのギター&ヴォーカル、最近は凄味さえ感じさせるのだ。ブルース・スタンダードがどんどんと登場していく中で、ストーンズがデビュー・シングルのB面に選んだマディ・ウォーターズの「I Want To Be Loved」を聴かせてもらったのは嬉しかった。(Mike M. Koshitani)


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「西藤ヒロノブ」 6月29日  Blues Alley Japan
 6月23日に、国内におけるデビュー・アルバム『リフレクション』を発表した西藤ヒロノブによる発売記念ライヴは、現在における彼の集大成となるものとなった。『リフレクション』からの選曲のみならず、スペインで発表されている3作からも演奏され、使用する楽器もトレードマークのセミアコ「The Sea」、ナイロン弦のアコースティック・ギター、6弦ギタレレと、彼の演奏技術の高さを見せつけ、ギター・アンプのリバーブとエフェクターのディレイによる生音に近い音での演奏は、並々ならぬ彼の自信を感じさせた。この日バックを務めたミュージシャン達もクリヤマコト(p/key)を中心に息の合った演奏を披露し、西藤ヒロノブの為に集まってくれた中西圭三、toku、シャンティ等多彩なゲストもライヴに花を添えた。真に実力あるギタリスト/コンポーザーとして、西藤ヒロノブのこれからに期待したい。(上田 和秀)


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「カラパナ」 7月1日  Billboard Live TOKYO
 サーフ・ロックの代名詞といえるカラパナが今年の夏も来日した。会場は満席、オーディエンスの年齢層が広いことにも驚かされる。波の音が流れ、「ワイキキの熱い砂」からライヴはスタート、会場は一気にハワイ・モードになっていく。DJ・プラット、マラニ・ビリューのヴォーカルを中心に懐かしいが、決して古くならない名曲が続く。「メニー・クラシック・モーメンツ」「ジュリエット」「ナチュラリー」、日本のファンの好みをよくわかった選曲に客席は大盛り上がりになった。今年で35年目を迎え、リーダーのケンジ・サノは「あと数年は頑張れると思うのでよろしく」と、ファンにメッセージを残したが、まだ10年はいけると思えるほど、パワフルなライヴだった。(鈴木 修一)写真:acane


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「トニ―・デセール」 
 1999年にミュージカル『アワー・シナトラ』で注目され、シナトラの後継者の一人と言われるトニ―・デセール。2005年の『ウォント・ユー』、2007年の『ラスト・ファースト・キス』と評判のアルバムを次々発表、最新作はNYのスタジオから生中継のラジオ番組仕立てで1930〜40年の古いスタンダードに自作のオリジナル交えて歌って全く違和感を感じさせないものだった。彼の魅力の一つはその歌作りの趣味の良さだろう。スタンダードからプリンス、キャロル・キングなどコンテンポラリーな歌とレパートリーの幅は広い。彼のピアノ、そしてギター、ベースとナット・キング・コール・スタイルのトリオでの今回のステージは、どんなになるか大いに期待される。(KT)
*8月5日〜7日 Blue Note TOKYO  2回公演
お問い合わせ:(03)5485-0088 
http://www.bluenote.co.jp/


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「クウイポ・クムカヒ」
 ハワイでも数少ない、スラック・キー・ギターを演奏する女性シンガー。1990年にカマカ・ウクレレのクリス・カマカらと“ケアロヒ”を結成し、ワイキキのホテルラウンジなどで演奏を始めた。1994年にソロ・アルバム『Na Hiwa Kupuna O Kuu One Hanau』を発表し、ハワイ最高の音楽賞≪ナ・ホク・ハノハノ・アワード≫で9部門にノミネート、内5部門を受賞し、一躍人気者になった。彼女の演奏するハワイアン・トラディショナル・ソングは高い評価を得ていて、多くのフラダンサーから絶大な支持を得ている。見逃せない、ソロ・ライヴになりそうだ。(SS)
*8月11日 COTTON CLUB 2回公演
お問い合わせ:(03)3215-1555 
http://www.cottonclubjapan.co.jp/


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「コーネル・デュプリー“SOUL SURVVIVORS〜tributee to STUFF〜”featuring ゴードン・エドワーズ ロニ―・キューバ バディ・ウィリアムズ ジェイムズ・アレン・スミス」
 ≪いぶし銀系スタジオ•ギタリスト≫コーネル•デュプリー率いるSOUL SURVIVORS 。今回のライヴ・テーマは、“STUFF/スタッフ”トリビュート。その伝説のSoul/Fusionバンド、スタッフのリーダー/ベース•プレイヤーのゴードン•エドワーズを引き連れての来日公演。これは、見逃せない。派手さはないこの二人だが、100戦錬磨の渋いプレイを、目のあたりで観る絶好のチャンス!!近年の“SOUL SURVIVORS ”のライ?とは、全く異なった熱いサウンドとウネウネのブラック•グルーヴを期待できそう。(YK)
*8月31日  9月1日 Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合せ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/
*9月3日 4日 Billboard Live OSAKA 2回公演
お問い合せ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/


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「マーカス・ミラー」(with special guest ラリー・グラハム *東京のみ)
 なんとびっくり。今回のマーカス・ミラーのBillboard Live公演、TOKYOオンリーだけどスペシャル・ゲストはスラップ奏法の元祖、ラリー・グラハムだ。現在、世界一のベース・プレイヤーとして名高いマーカスのスラップ・ベース・プレイは、実はラリー・グラハムに多大なる影響を受けている。マーカスの尊敬するラリーとの競演、いったいどんなステージになるのか? 二人の壮絶なファンク・ベース・バトルが目のあたりで炸裂しそう。Billboard Live TOKYOのみでしか観られないこのスペシャル・ライヴ、必見である。歴史的にも価値がある、はたして何が出るのか、今からワクワクものである。歌手としても絶品のラリーの歌もぜひ披露してもらいたいものだ。 (YK)
 *9月7日 8日 Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合せ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/
 *9月9日 Billboard Live OSAKA 2回公演
お問い合せ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/


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「ケアリイ・レイシェ ≪Keali'i Reichel KUKAHI 2010 JAPAN TOUR≫」
 日本でもっともオーディエンスを集められるハワイアン・ミュージシャン&クムフラ≪ケアリイ・レイシェル≫の日本公演が9月に行われる。ケアリイの美しい歌声、彼が教えるフラダンサー達の優雅な踊りは見逃せない。毎年、何か仕掛けを見せてくれるケアリイ。今年はどんなステージを見せてくれるのか、楽しみだ! 今年は例年行っていた、日比谷野音はスケジュールに入っていない。 (SS)
*9月20日 大阪/服部緑地野外音楽堂
http://www.sogo-osaka.net/
*9月21日 東京/JCBホール
*9月23日 東京/中野サンプラザホール
http://sogotokyo.com/
*9月22日 神奈川県立県民ホール 大ホール
http://www.kmmusic.co.jp/


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「バッド・カンパニー」
 最も再結成が期待されていたロック・バンドのひとつ、バッド・カンパニーがオリジナル・メンバーによる再結成で、35年振りとなる来日公演が決定した。来日メンバーは、ポール・ロジャース(vo)、ミック・ラルフス(g)、サイモン・カーク(ds)、これにボズ・バレル(b)が加われば最高だったが・・・。哀悼の意を込めたライヴで「キャント・ゲット・イナフ」「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」等大ヒット曲が光り輝くことだろう。オープニング・アクトとして登場する、スティーブン・ロジャースも楽しみだ。(KU)

*10月18日 福岡/Zepp Fukuoka 
*10月20日 名古屋/Zepp Nagoya 
*10月21日 大阪/なんばHatch 
*10月25日 26日 東京/東京国際フォーラム ホールA 
お問い合せ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999
http://udo.jp/


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「HAPA Japan Tour 2010“Malihini”─ Music and Hula Concert 3nd Season」
 フラガールにもお馴染みの「Ka Uluwehi O Ke Kai」「Lei Pikake」などのヒット曲を持つ、ハワイの人気デュオ≪HAPA≫が10月から、11月にかけて日本ツアーを行う。バリー・フラナガンとネイサン・アウェアウのハーモニーが聴く者を引きつけるのだ。
バリーの超絶ギター・テクニックも必見。ここ数年、フラを強く意識したステージになっているので、フラ・ファンも必見。
今年もピイラニ・クライン、サラ・カマレイ・ノイルと2名のダンサーもやってくる。8月2日に1日だけ Billboard Live TOKYOでもライヴを行う、
六本木の夜にもHAPAはマッチング、アロ〜ハ!(SS)
*10月27日 埼玉/所沢ミューズ マーキーホールを皮切りに11月15日 宮城/仙台電力ホールまで全国12カ所、13公演を予定。
http://www.conversation.co.jp/schedule/hapa/
*8月2日  Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合せ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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「ボン・ジョヴィ  THE CIRCLE JAPAN TOUR」
 現在、世界最高のライヴ・バンドであり、20世紀後半から21世紀にかけて最も成功したロック・バンド/ボン・ジョヴィの全135公演ワールド・ツアーが、日本では東京ドームにて2日間のみ開催される。ロンドンO2アリーナ12公演即日ソールド・アウトという記録を樹立し、ロック界の頂点に君臨するボン・ジョヴィ。新作『ザ・サークル』を中心とした熱きロック魂溢れるライヴ・パフォーマンスに心を震わせる2日間、これを見逃すと一生後悔することになるかもしれない・・・。(KU)
*11月30日、12月1日 東京ドーム 
お問い合せ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999 
http://udo.jp/