「ウィンターズ・ナイト/スティング」
(ユニバーサルミュージック/UCCH-1028=通常盤 UCCH-9008=限定盤/SHMCD+DVD)
リュートだけをバックに16世紀の英国人音楽家ジョン・ドウランドの作品を歌った『ソングズ・フロム・ザ・ラビリンス』につづくドイツ・グラモフォンからの第2弾。ただし、本人によれば、続編を意識したものではなく、レコード会社からの「クリスマス・アルバムをつくりませんか」という打診をやんわりとかわす形で、古代からの潜在心理、キリスト誕生の物語、雪の向こうに見え隠れする精霊や幽霊などを通奏音として奏でながら、「冬」の意義や魅力をさまざまな角度から描いたものだという。古い民謡や子守唄、シューベルトやパーセル、バッハらの作品を核に、味わい深いアコースティックな音で表現した冬に、さまざまな意見があるとは思うが、僕自身を強く引き込まれた。ザ・ポリスの再結成をめぐる喧噪のあとに、なにごともなかったかのように、こういう作品をつくってしまうところが、いかにもスティングらしい。もう少し寒くなったらこのディスクを聞きながら、ユングでも読み返してみようか。(大友 博)
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