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「ベートーヴェン:交響曲全集/カリータ・マッティラ(Sop.)、ヴィオレータ・ウルマーナ(Alto)、トーマス・モザー(Ten.)、アイケ・ヴィルム・シュルテ(Bass)、スウェーデン放送合唱団、エリック・エリクソン室内合唱団、クラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」(EUROARTS/2057378) *4DVD
2001年2月8,9,11,12,14,15日に行われたローマの聖チェチーリア音楽院に於けるアバドとベルリン・フィルによるベートーヴェン連続演奏会のライヴの中から交響曲第1〜8番、そして理由は不明だが、第9だけは前年5月のベルリン・フィルハーモニーでのライヴをDVD化したものである。
演奏は緊張感と躍動感に満ちており、アバドは緩徐楽章をも結構速めのテンポでぐいぐいと引っ張って行ってしまう。確か彼は前年に癌を患って回復したと記憶しているが、この演奏は病気など何処かに吹き飛ばしてしまうかのような力強さを感じる。特にベルリンでの「第9」に於ける迫力は素晴らしいもので、最終楽章のコーダは演奏者の限界に挑んだものと言っても過言ではない。アバドはこのDVDの中で「ベートーヴェンのシンフォニーはすべてが傑作である」と言っているのだが、これがまことに真実味に溢れて聞こえてくる。なお、このDVDは第3,5,6,7番に限って、別のカメラがいろいろな角度でオーケストラから指揮者を見られるような音入りの画像がボーナス・トラックとして入っているのも面白いアイディアである。(廣兼 正明)
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