「フレンズ/バナード・ファーラー」(ヴィレッジ・レコード/VRCP-12002) ローリング・ストーンズのコーラス担当で、坂本龍一や吉田美奈子ら日本人ミュージシャンとも交流のあるバナード・ファーラーのファースト・ソロ・アルバム。ストーンズのロニー・ウッドはじめ多くの仲間が参加。R&Bはもちろん、ロックからジャズまで実に見事に歌いこむ彼の音楽性が凝縮された素晴らしい出来だ。オリジナル作品、そしてストーンズ(『ワイルド・ホース』)、ニール・ヤング、リンダ・ロンシュタット、アイズレー・ブラザーズのカヴァーなども収録。多くのプロジェクトでのステージも素晴らしかったが、今度はぜひとも単独のライヴを我が国で実現して欲しい。(Mike M. Koshitani)
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「黒くぬれ!~ローリング・ストーンズ・カヴァー・トラックス」
(東芝EMI/TOCP-67880) ストーンズの名作はこれまで数多くのアーティストによってカヴァーされてきたが、そんな中からデヴィッド・ボウイ、ロッド・スチュワート、アレサ・フランクリン、オーティス・レディング、アイク&ティナ・ターナー、レオン・ラッセル、ラモーンズなどレーベルを超えて20曲。改めてジャガー/リチャーズの素晴らしさを教えてくれるわくわくさせられるコンピレーション・アルバムだ。じっくりとオリジナル・ヴァージョンと聴き比べてみるのも楽しみのひとつだ。ぜひ続編も期待したい。(Mike M. Koshitani)
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「RESPECT THE STONES」(ジェネオン エンタテインメント/GNCL-1049) いよいよローリング・ストーンズを間近に控えたタイミングでリリースされたのが邦楽アーティストによるストーンズのカヴァー・コンピレーションとなるこの『RESPECT THE STONES』。ストーンズといえば、カヴァーも星の数ほど生んでいるだけに解釈も相当にあるわけで、どんなカヴァーを聴くことになるのかと期待と不安も入り混じる題材ではあるが(ディーヴォの「サティスファクション」みたいなぶっ飛びカヴァーもあることだし)、ここではストーンズの骨太なロックのそれぞれのアーティストによる解釈というものになっている。プロデューサーがマイク越谷氏なら当たり前か。というわけで、のっけからアドレナリンとファズ全開のプライヴェーツの「サティスファクション」が聴けて、このアルバムがどういうカヴァーを目指しているのかよくわからせてくれる。ズボンズの「リップ・ジス・ジョイント」はあんまりカヴァーされることのない必殺ナンバーだけに結構、このアルバムを気に入ってしまう重要なポイントになったりしている。でもって、モッズの「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」のオープニングのコードのあまりにもダイナミックな響きがダメ押し。やっぱりみんな70年代が好きなんだという意味で、ザ・サンズの冒頭の現代ファンク的カヴァーはかなり新鮮だが、後半で真骨頂を聴かせてくれる。個人的には「ミス・ユー」をここまでかっこよくカヴァーした菊田俊介にかなりしびれた(この曲はすごく難しいと思う)。 (高見 展)
「イエスタディズ/ポーラ・サナーホルム」(Spice of Life SOL/FP 0001) 美人でしかも歌がうまい、いうことなしである。それにシンプルで温かいサウンドの伴奏が心地よく、すてきな雰囲気に一気に引き込まれてしまう。ポーラはスウェーデンの歌手だが、派手な装飾をほどこさないで、ストレートに、ひたすら原曲の味わい生かす歌い方をしているのがよく、ほのかな色気さえただよわせている。冒頭のゆったりとした歌い方の「ドウ・ナッシン・フロム・ミー」にまず感心したが、「ラブ・ミー・オア・リーブ・ミー」「マイ・フーリッシュ・ハート」などスタンダード曲ぞろいなのもうれしい。ビリー・ホリデイ作の「ファイン・アンド・メロー」をブルース風に歌わないのは、ビリー節になるのを避けたためであろう。(岩浪 洋三)
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「16 Men & A Chick Singer Swingin‘/ The Pratt Brothers Big Band Featuring Roberta Gambarini」 (CAP 985)輸入盤 3月に来日、「コットン・クラブ」へ急遽出演が決まった、最近、話題のジャズ・シンガー、ロバータ・ガンバリーニが2001年にプラット・ブラザーズ・ビッグ・バンドと録音したアルバム。ビッグ・バンドで歌う彼女の素晴らしい歌が聞ける。ディーン・プラット(tp)とマイケル・プラット(ds)の双頭ビッグ・バンドと共演で「スカイラーク」「イースト・オブ・ザ・サン」、ケニー・ダーハムの「フェア・ウエザー」、ガレスピー楽団のナンバー、「ザ・カップ・ベアラーズ」に詞をつけた「カップ・オブ・ライフ」の4曲を熱唱する。ジャズ・センスが光る、スケールの大きな歌唱だ。プラット兄弟、ロニー・マシューズ(p)などソリストの活躍する歯切れ良いビッグ・バンド・サウンドも聴きものだ。(高田 敬三)